
近年、小型コンピュータ技術の進歩により、ミニPCが注目を集めています。従来のデスクトップPCの機能を小さな筐体に詰め込んだミニPCは、種類も豊富で、サイズ、性能、機能、価格帯もさまざまです。選択肢が多いからこそ、自分に合ったモデルを見つけるのは簡単ではありません。この記事では、主なミニPCの種類とその特徴を解説し、最適な選択をサポートします。
ベアボーンミニPC
ミニPCは大きく「ベアボーン型」と「完成品型」の2種類に分けられます。市販品の多くは、開封後すぐに使える完成品タイプです。一方、自分好みのカスタマイズを楽しみたい方向けに、ベアボーン型も用意されています。
ベアボーン型とは、メモリやSSD、OSが搭載されていない「半完成品」のパソコンです。自分で必要なパーツを選んで組み込み、OSをインストールして使い始めます。とはいえ、一般的な自作PCほど複雑ではなく、底面のカバーを開けてメモリとSSDを取り付け、USBメモリからOSをインストールするだけで完成します。
ただし、パーツ選びには注意が必要です。対応していないメモリやSSDを取り付けると、最悪の場合は基板が壊れることもあります。パソコンに詳しくない方や、相談できる人がいない場合は、初めから使える完成品モデルを選ぶ方が安心でしょう。
おすすめ記事:ベアボーンミニPCを購入する前に知っておくべきこと
WindowsミニPC
2025年3月時点で、Windowsは世界のデスクトップOS市場の71.72%を占めており、ミニPCでも最も一般的で汎用性の高いプラットフォームです。ユーザーフレンドリーな操作性、優れたドライバ対応、幅広いアプリケーションの利用が可能な点がその魅力です。Windows 11にはDirectX 12やAuto HDRといった機能が搭載されており、ゲーミング用途でも優れた体験を提供します。
ほとんどのWindowsミニPC(95%以上)はx86アーキテクチャのCPUを搭載していますが、パフォーマンスには構成によって大きな差があります。「GEEKOM GT1 Mega」は、Wi-Fi 7とWindows 11を搭載し、高速なワイヤレス接続と最新のOS機能を提供します。Intel Core Ultraプロセッサにより、AI処理やデータ解析などの高負荷タスクにも対応。コンパクトな筐体で、家庭、オフィス、ゲーミング、ワークステーション、メディアセンターなど、幅広い用途にマッチする、将来性のあるモデルです。
2025年を通じて、Windows 11はパフォーマンスやAI機能、検索機能の面でさらなる進化を遂げており、より多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となっています。
Apple Mac mini
Apple Mac miniは、macOSを正式に搭載した唯一のミニPCです。もともとは一般ユーザー向けに設計されていましたが、2018年以降はプロフェッショナルユーザーにも対応するモデルに進化しています。2020年に登場したM1チップ以降、M2、M2 Pro、そして最新のM4/M4 Proチップにより、シングルコア・マルチコア両面で大幅な性能向上が図られました。
M4 Proチップ搭載モデルは、Thunderbolt 5ポートによる複数ディスプレイ対応やカーボンニュートラルな設計が特徴。macOSはDaVinci ResolveやLogic Proなどのクリエイティブ用途で高い安定性と最適化を誇ります。
Mac miniは、映像編集、音楽制作、プログラミング、グラフィックデザインといったプロ用途に特におすすめです。ただし、ユーザーによるパーツの交換はできず、macOSはWindows向けソフトやゲームの互換性に限りがあります。Apple製品に慣れ親しんでいるユーザーには最適ですが、Windows専用ソフトが必要な方やハードウェアの拡張性を重視する方には不向きです。
LinuxミニPC
近年、Linuxを搭載したミニPCの人気も高まりつつあります。LinuxはOSではなくカーネルであり、実際にはUbuntu、Mint、Debianといったディストリビューションがよく使われています。
LinuxミニPCは、NUCのような小型PCから、Raspberry Piのようなシングルボードコンピュータ(SBC)までさまざまな形状があります。GUI中心のWindowsとは異なり、Linuxではコマンドライン操作が必要な場面も多いため、初心者には少しハードルが高いかもしれません。
Linuxは安定性と省リソース性に優れているため、ホームサーバーとして活用されるケースが多いです。2025年3月時点での世界デスクトップOSシェアは3.99%と少数派ですが、開発者やプライバシーを重視するユーザーには根強い人気があります。また、古いPCに再び命を吹き込む手段としても有効です。ただし、クリエイティブ作業やゲーミングには、Windows搭載ミニPCの方が一般的には適しています。
Chromebox(クロームボックス)
Chromebox(クロームボックス)は、Chrome OSを搭載したミニPCで、クラウドベースの作業やウェブアプリ、教育用途に特化しています。セットアップが簡単でセキュリティも高く、文書作成、ビデオ会議、Androidゲームなどの用途に特に便利です。
Chromeboxは、主にGoogleドキュメントやGmail、Zoomなどのブラウザベースのツールを使うユーザーにとって、手頃で手間のかからないパソコン体験を提供します。教室やコールセンター、基本的なオフィス作業に最適です。ただし、オフラインでの作業や、高度な処理(4K動画編集や複雑なグラフィックデザインなど)には向いていません。
Chrome OSはLinuxとAndroidを組み合わせたような仕組みで、セキュリティと安定性には優れていますが、重たい作業への対応力は限られています。
Android ミニPC
AndroidベースのミニPCは、小型で手頃な価格のデバイスが多く、主にメディア再生やスマートテレビとの統合を目的としています。これらの端末はARM系のプロセッサを搭載しており、YouTube、Netflix、Plex、Kodiなどのストリーミングサービスに最適です。
デスクトップ用途や本格的な作業には不向きですが、普通のテレビをスマートエンタメ端末に変える「プラグアンドプレイ」の低コストな選択肢として非常に優秀です。
ただし、安価なAndroidボックスでは長期的なサポートやファームウェアのアップデートが不十分な場合もあるので、購入時には注意が必要です。
まとめ
ミニPCを選ぶ際は、まず自分の使い道と予算をはっきりさせましょう。一般的な使い方であれば、すぐに使えるWindows搭載の完成品モデルがおすすめです。ベアボーン本体にメモリやSSD、Windowsライセンスを別々に購入するよりも、トータルコストを抑えられることが多いからです。
また、多くのWindows搭載ミニPCはx86アーキテクチャを採用しているため、必要に応じて別のOSを入れることも可能です。ストレージを複数搭載できるモデルなら、Windows と Linux など複数のOSを切り替えて使える環境も作れます。
小さな筐体ながら多彩な可能性を秘めたミニPC。自分のライフスタイルに合った一台を見つけて、快適なパソコンライフを楽しんでください。
コメントを残す