
NVIDIAの新しいエントリー~ミドルレンジ向けグラフィックカード「RTX 5060」と、少し上位の「RTX 5060 Ti」は、すでに数カ月前から市場に出回っています。Currys、Scan、Overclockers UKといった大手小売店でも入手しやすく、価格はRTX 5060が約6万円、Tiモデルが約8万円あたりが目安です。コストを抑えつつPC性能を底上げしたいゲーマーの間で、早くも人気を博しています。
RTX 5060またはRTX 5060 Tiの購入を検討している方に向けて、本記事では両モデルを実機で検証し、どちらがニーズに合うのか判断できるよう、ポイントを整理したレビューをまとめました。
RTX 5060とは:話題の理由
まずはRTX 5060から見ていきましょう。RTX 5060は、NVIDIAが新世代の中でも最も手ごろな選択肢として位置づけているグラフィックカードです。発売時の価格は約6万円で、GigabyteやZOTACの一部モデルは現在も同水準です。価格の手ごろさもあって人気を集めており、NVIDIA Blackwellアーキテクチャを採用し、ハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングやAIによるMulti Frame Generationにも対応します。
仕様としては、8GBのGDDR7 VRAM、32MBのL2キャッシュ、128-bitのメモリバス(約448GB/s)、理論性能はおよそ19 TFLOPS、消費電力は145 Wです。RTX 4060の消費電力115Wから約25%増えており、その分全体性能を押し上げる主要技術の強化につながっています。
このGPUは、コストを押さえつつ高性能なPCを組みたいゲーマーに向いた設計です。また、CPU側に偏りがちな生産性タスクをGPUに分担させたい場合にも有効です。多くのゲームを1080pのUltra設定、または1440pのHigh設定で快適に動かしやすく、負荷の高いAdobe系アプリでも高いパフォーマンスを発揮します。
RTX 5060 vs RTX 4060:主な違い
| 項目 | RTX 5060 | RTX 4060 |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | Blackwell 2.0 | Ada Lovelace |
| CUDAコア数 | 3840 | 3072 |
| VRAM | 8 GB GDDR7(28 Gbps) | 8 GB GDDR6(17 Gbps) |
| メモリバス | 128-bit | 128-bit |
| メモリ帯域幅 | 約448 GB/s | 約272 GB/s |
| ブーストクロック | 2.5 GHz | 2.5 GHz |
| 消費電力 | 145 W | 115 W |
| 発売時価格 | 約6万円 | 約6万円 |
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RTX 5060 vs RTX 5060 Ti:主な違い
RTX 5060とRTX 5060 Tiは同時に発売され、価格も大きく変わりません。しかしRTX 5060 TiはRTX 5060に対して、ゲーミングと制作系の両方で約20%の性能向上が見込めます。特に16GB版は、そのメリットがより分かりやすくなります。一方で、RTX 5060 Tiは消費電力が高めなので、電源容量や冷却、ケース内エアフローをあらかじめ考慮しておく必要があります。
| 項目 | RTX 5060 | RTX 5060 Ti |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | Blackwell 2.0 | Blackwell 2.0 |
| CUDAコア数 | 3840 | 4608 |
| VRAM | 8 GB GDDR7(28 Gbps) | 8GB/16GB GDDR7(28Gbps |
| メモリバス | 128-bit | 128-bit |
| メモリ帯域幅 | 約448 GB/s | 約448 GB/s |
| ブーストクロック | 約2.50 GHz | 約2.57 GHz |
| 消費電力 | 145 W | 180 W |
| 発売時価格 | 約6万円 | 約8万円(8GB)/約8.6万円(16GB |
ゲーミングとクリエイティブ作業における性能
ゲーム用途で選ぶなら、RTX 5060とRTX 5060 Tiの違いは、Ultra設定をどの解像度までカバーできるかという点です。RTX 5060はフルHD(1080p)で快適に遊べる一方、RTX 5060 Tiは1440pでも忠実なグラフィックを表現できます。もちろん、CPUやメモリなど他のパーツも足を引っ張らない構成にしておくことが前提です。
生産性用途では、長時間の動画編集を行うなら16GB版のRTX 5060 Tiが有利です。RTX 5060に比べて最大25%程度の性能向上が期待でき、Adobe Premiereでは書き出しが最大30%速くなります。また16GBのVRAMがあることで、Premiere、Illustrator、Photoshopで大きなファイルを扱う際のカクつきを抑えやすくなります。
一方、配信や軽めの作業、描画負荷の高くないゲームであれば、両モデルの体感差は小さく、性能はほぼ同等と言えます。ただしマルチ配信のようにVRAMを多く使うケースでは、16GB版のRTX 5060 Tiのほうが余裕があり、RTX 5060では場面によっては厳しくなることがあります。とはいえ、どちらもほとんどの用途で十分優秀です。RTX 5060 Tiは、RTX 5060よりもう一段上まで狙えるモデルと考えると分かりやすいでしょう。
RTX 5060の価格
RTX 5060の希望小売価格は6万円で、市場価格もほぼ同等です。発売から数カ月が経った今も、価格帯はおおむねこの水準で推移しており、比較的入手しやすい状況です。たとえばGigabyte GeForce RTX 5060 Eagle OCは、ほとんどの販売店で59,800円で販売されています。ほかのバリエーションモデルも、64,000円前後が目安です。
また、残っているRTX 4060の在庫も新世代のRTX 5060と近い価格で販売されているため、4060を選んでも大きく節約できるとは言いにくいです。価格差がほぼないので、RTX 5060を選ぶのがおすすめです。少なくとも、AIデータセンター需要の高まりで、2026年に価格が上昇するかどうかが見えてくるまでは、RTX 5060を選ぶのが堅実だと言えます。
2026年、RTX 5060はいくらになるか
AIデータセンターのハードウェア需要が拡大し続けており、RAM、SSD、グラフィックカードの価格が上昇しています。2025年後半の時点でDDR5メモリはすでに大きく値上がりしており、SSDや16GB搭載のグラフィックカードもおおむね20%程度上昇しました。この傾向は今後数カ月でさらに強まる可能性があるため、注意深く動向を見ておく必要があります。
グラフィックカード市場では、VRAM容量が大きいモデルほどデータセンターでの需要が強いため、現時点ではRTX 5060は相対的に影響を受けにくい状況です。少なくとも、データセンターがRTX 5060を強く求めているわけではない、といえます。ただし、再び2020年のような供給不足が起これば、RTX 5060が6万円前後で購入できる保証はありません。状況によっては10万円、あるいはそれ以上値上がりする可能性もあります。
RTX 5060は旧世代から乗り換える価値があるか
ここでは、古いグラフィックカードをRTX 5060に交換する価値が本当にあるのかを見ていきます。もちろん、予算を気にせず毎年最新の機器を揃えたい方なら、RTX 5060 Tiの上位モデルを選ぶのも一つの手です。一方で、コストとのバランスを取りながら必要な部分だけ賢くアップグレードしたい場合は、RTX 5060が旧世代からどの程度進化しているのかを押さえておくことが重要です。ここからは、前世代モデルと比べた主な改善点を整理します。
RTX 5060 アップグレードガイド
アップグレードの判断基準:いま使っているGPUの現実的な見極め
乗り換えの価値あり
3〜4世代の差があるなら、買い替えを検討するタイミングです。ただし、RTX 5060の性能向上だけで判断するのではなく、マザーボードが対応しているか、RAMやCPUがボトルネックにならないかも確認しましょう。PC全体を入れ替える必要がある場合は投資額も大きくなりますが、今動くかどうかで条件が変わる可能性があります。AIデータセンター需要が価格上昇要因になっています。
慎重に検討が必要
ここからはケースバイケースです。RTX 3060はRTX 5060より2世代前のモデルですが、フルHD(1080p)のゲームや多くの生産性タスクでは、今でも十分に堅実な性能を発揮します。4Kでも用途次第では、一定レベルで対応できます。RTX 5060のメリットは多いものの、判断軸は性能差よりも予算に置くのが現実的です。
予算に余裕があれば別だが、見送るのが無難
一般的には、RTX 4060からRTX 5060へ買い替える必要はありません。世代交代による改善はあるものの、乗り換えの優先度は高くないと言えます。BlackwellアーキテクチャのMulti Frame Generationは魅力的で、これまで以上にFPSを伸ばせる可能性がありますが、予算に十分な余裕があれば別ですが、見送るのが無難です。
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RTX 5060はどんな人に向いているか
まとめると、RTX 5060は高価なグラフィックカードに手を伸ばさずに、フルHD(1080p)で最新ゲームをしっかり楽しみたい一般的なゲーマーに最適です。多くのタイトルで快適に遊べますが、4K解像度をUltra設定で無理に狙うと、場面によっては動きが重くなることがあります。その一方で、用途が合っていれば少なくとも5年程度は安心して使える将来性も期待できます。
また、常にプロ級の編集を行うわけではないコンテンツ制作者にも向いています。ストリーミングに十分な性能があり、Premiere ProやAfter Effectsでも軽〜中程度の編集なら快適にこなせます。さらに、RTX 5070のような上位モデルよりもコンパクトなため、スモールフォームファクターのケースをお持ちの方にも最適です。
では、今RTX 5060を買うべきか
グラフィックカードのアップグレードを考えていて、予算が6万円以上あるなら、答えは「Yes」です。RTX 5060はコストパフォーマンスに優れ、特にMulti Frame Generationは魅力的です。さらに重要なのは、2026年に価格が上がる可能性がある点です。AIデータセンター需要がこのまま拡大すれば、現在60,000円〜64,000円前後のRTX 5060が、8万円、場合によっては10万円前後まで上昇する可能性もあります。
たとえRTX 3060で現状に不満がないとしても、RTX 5060は単なる性能向上にとどまらず、ゲーム性能をさらに引き上げる新しいAI技術も取り入れています。なお生産性用途については、いまの作業内容と今後の見込みを踏まえて検討してください。動画編集などで負荷が増える可能性があるなら、16GB版のRTX 5060 Tiを選んだほうが賢明なケースもあります。
RTX 5060に関するよくある質問
Q. RTX 5060はいつ発売されましたか
A. RTX 5060は2025年5月に発売されました。以降、Gigabyte、ASUS、ZOTAC、MSIなど主要ブランドから複数のモデルが展開されており、現時点で大きな品薄は起きていません。
Q. RTX 5060はRTX 4060より優秀ですか
A. はい。RTX 5060はゲーミング性能と生産性用途の両方で、RTX 4060より仕様面が強化されています。目安として、RTX 4060に対して10〜20%程度の性能向上が期待できますが、消費電力は高くなります。
Q. RTX 5060とRTX 5060 Tiはどちらを選ぶべきですか
A. 予算を抑えたい方、フルHD(1080p)でUltra設定のゲームプレイに満足できる方、負荷の重くない作業が中心の方はRTX 5060がおすすめです。予算に余裕があり、1440p/4Kで遊びたい方や重いアプリケーションを使う方は、16GB版のRTX 5060 Tiがおすすめです。
Q. ゲーム用途で16GB版のRTX 5060 Tiは必要ですか
A. 必須ではありません。16GBのVRAMは4Kで最新の重いタイトルをプレーするゲーマー向けです。一方、8 GBのRTX 5060でもフルHD(1080p)であれば多くのゲームを快適にプレーできます。
Q. RTX 5060の実勢価格はいくらですか
A. RTX 5060のメーカー希望小売価格は6万円で、多くのメーカーがこの価格に近い水準で展開しています。2025年12月時点では、ブランドによって約60,000円〜64,000円前後で購入できるケースが多い一方、AIデータセンター需要がさらに伸びると、2026年に価格が上昇する可能性があります。






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