
ゲームや画像・動画編集、3Dレンダリング、AIを使う重い作業向けに、高性能なメモリを探していませんか?そういうPCを調べていると、LPDDR5XやDDR5という名前を目にすることがあると思います。
ただ、この2つをそのまま比べるのは、少し無理があります。今回のLPDDR5XとDDR5の比較では、共通している部分、違っている部分、そして「スペックだけ見て決めればいい」という話ではない理由を、なるべく分かりやすく見ていきます。
LPDDR5Xとは

LPDDR5Xは、「Low Power Double Data Rate 5X」の略です。SDRAMの一種で、スマートフォンやノートパソコン向けに作られたメモリで、一般的にはモバイルRAMと呼ばれることもあります。
LPDDR5Xは、第5世代モバイルメモリであるLPDDR5をさらに改良したものです。前世代と比べると、消費電力を抑えながら性能を高めているのが特徴です。個人的には、この「省電力なのに速い」という方向性が、今の薄型ノートやミニPCに合っていると感じます。
LPDDR5Xの構造と機能
LPDDR5Xメモリには、どのような特徴があるのでしょうか。モバイルRAMとしての構造や機能について、知っておきたいポイントは以下のとおりです。
- 名称:LPDDRまたはLP-SDRAM
- 世代:第5世代、改良版
- 発売日:2021年11月
- 構造:SDRAM、着脱式モジュールではなくマザーボードに半田付け
- 機能:低消費電力で性能を高めたモバイルRAM
LPDDR5Xの代表的な用途
AI時代になり、性能だけでなくエネルギー効率も重要になってきました。LPDDR5Xは、まさにその流れに合ったメモリで、次のような分野で使われています。
- AI機能を搭載したフラッグシップスマートフォン
- AI機能を搭載したハイエンドタブレット
- 車載機器(自動運転など)
- 薄型・超軽量ノートパソコン
- ミニPCやモバイルワークステーション
DDR5とは?

注意:名前が似ているので混同しやすいです。LPDDR5XとDDR5は、名称こそ近いものの、技術的には別物です。DDR5は「Double Data Rate 5」または「Double Data Rate 5 Synchronous Dynamic Random-Access Memory」の略で、DDR5 SDRAMとも呼ばれます。
DDR5は、DDR SDRAMの第5世代にあたるメモリです。PCハードウェア向けに設計されており、前世代のDDR4と比べて、高帯域幅と低消費電力を実現しています。
DDR4とDDR5 :2026年にアップグレードする価値はあるのかについてもご覧ください。
DDR5の構造と機能
DDR5 SDRAMは、DDR4の後継として2021年に登場しました。主な構造や動作に関するデータは、以下のとおりです。
- 名称:DDR5またはDDR5 SDRAM
- 世代:第5世代、DDR4の後継
- リリース日:2020年7月
- 構造:SDRAM、2つの独立した32ビットサブチャネル、着脱式モジュール
- 機能:デュアルチャネルアーキテクチャにより、帯域幅の向上と消費電力の低減を実現したPC用RAM
DDR5の代表的な用途
LPDDR5Xは主にモバイル機器で使われますが、DDR5はより大型の機器で使われることが多いです。たとえば、以下のような機器が挙げられます。
LPDDR5XとDDR5の違い:直接比較
LPDDR5XとDDR5には似ているところもあります。ただ、技術的には大きく違いますし、用途も異なります。PCやデバイスを選ぶときに迷わないよう、ここからはLPDDR5XとDDR5の違いと主な共通点を見ていきます。
LPDDR5X vs DDR5:一目でわかる比較表
忙しい方のために、LPDDR5XとDDR5の主要スペックを並べて比較しました。
| 項目 | LPDDR5X | DDR5 |
|---|---|---|
| 速度 | 8,533 MT/s; 68.26 GB/s | 8,800 MT/s; 70.4 GB/s |
| 動作電圧 | 0.5 V | 1.1 V |
| フォームファクター | SDRAM(マザーボードに直接はんだ付け) | 2つの独立した32ビットサブチャネルを備えたSDRAM(取り外し可能) |
| 拡張性 | なし | あり(最大192 GB RAMまで拡張可能) |
| 価格性能比 | プロフェッショナル向けモバイルアプリケーションに最適(10万円~) | 拡張性によりさまざまな用途に対応可能 2026年には価格が下落(5万円~) |
速度と帯域幅
LPDDR5XとDDR5は、それぞれのデバイスで高いパフォーマンスを発揮します。LPDDR5Xは、6,400~8,533 MT/sのデータ転送速度と、最大68.28 GB/sの帯域幅に対応します。DDR5はそこから少し上回り、3,200~8,800 MT/sの速度と、最大70.4 GB/sの帯域幅を実現しています。
消費電力とエネルギー効率
エネルギー効率で見ると、DDR5よりLPDDR5Xが有利です。LPDDR5Xはモバイル向けのメモリなので、スマートフォンやノートPCのように、限られたバッテリーで動かすことを前提にしています。LPDDR5Xは基本的に0.5V~0.6Vで動作しますが、DDR5は約1.1Vで動作します。この差は、モバイル機器ではかなり体感に関わる部分だと思います。
フォームファクタと設計
LPDDR5XとDDR5は、どちらもSDRAMです。でも、構造は大きく違います。モバイル向けのLPDDR5Xは、マザーボードに直接はんだ付けされるため、省スペース化に向いています。一方、DDR5 SDRAMはDIMMまたはSO-DIMMとして作られ、専用のメモリスロットに挿して使います。
アップグレード性と柔軟性
LPDDR5Xは、通常マザーボードに直接はんだ付けされています。そのため、取り外したり、あとからアップグレードしたりすることは基本的にできません。現時点では、LPDDR5Xを交換できるタイプはごく一部で、CAMM2やLPCAMM2のような方式に限られます。一方、DDR5は必要に応じてメモリスロットに挿し替えたり、より高性能なものに交換したりできます。あとから構成を変えたい人には、DDR5のほうが扱いやすいです。
価格性能比
ここ数カ月で、メモリの価格性能比は大きく変化している。日本でも、AI向けデータセンター需要の拡大を背景にDRAM価格が急騰しており、2026年2月には「3カ月で約6倍」に跳ね上がった製品もあると報じられた 。LPDDR5Xを含むサーバー・モバイル向けメモリも需給逼迫の影響を受けており、今後もDDR5、LPDDR5X、GDDR系メモリの価格がさらに上昇する可能性が指摘されている 。
LPDDR5Xはどんな用途に向いている?
LPDDR5Xは、モバイルデバイス向けに設計された高性能SDRAMです。軽量・超薄型ノートパソコン、ミニPC、モバイルワークステーションなど、幅広い機器で使われています。
ミニPCとコンパクトシステム
LPDDR5X SDRAMは、ミニPCやコンパクトなシステムにも採用されています。こうした機器でも、LPDDR5Xは軽量・超薄型ノートPCと同じように、限られたスペースで高いパフォーマンスを出すために使われます。
GEEKOMのカタログにも、LPDDR5X対応のミニPCがあります。GEEKOM A9 MegaミニPCは、最大128GBのLPDDRメモリとRAIDストレージを搭載でき、ワークステーションレベルのパフォーマンスと最大126TOPSのAI性能を実現します。

- プロセッサー(CPU):AMD Ryzen AI Max+ 395、Zen 5(16/32コア)
- グラフィックカード(GPU):Radeon 8060S、RDNA 3.5、40コア
- AIアクセラレーター(NPU):50 TOPS(AI性能最大126 TOPS)
- メモリ:最大128GB LPDDR5x-8000 RAM
- ストレージ:デュアルM.2 PCIe 4.0 SSD(最大8TB)
- IceBlast 5.0 アドバンスド冷却:120Wでも性能を支えるデュアルタービンファン
- 接続性:Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4、デュアル2.5G LAN、USB 4、HDMI 2.1、最大4台の8Kディスプレイに対応
- オペレーティングシステム:Windows 11 Pro(Copilot AI搭載)
モバイルワークステーションとAIアプリケーション
LPDDR5Xは、GEEKOM A9 Mega Mini PCのような小型ワークステーションや、AIアプリケーション向けの機器にも搭載されています。このチップは処理能力が高く、メディア編集、3Dレンダリング、複雑なAIワークロードの実行といった負荷の大きい作業にも対応できます。そのため、モバイルコンテンツ制作者、開発者、自動運転車の開発者にとって、有力な選択肢になります。
DDR5はどんなな用途に向いている?
DDR5は、据え置き型ハードウェア向けの交換可能なSDRAMです。そのため、主に高性能ミニPC、サーバー、プロフェッショナルワークステーションに搭載されています。こうした機器では、AI、コンテンツ制作、ビデオ編集など、負荷の大きい作業を処理できます。
高性能ミニPC
DDR5は現在ハイエンドミニPCの標準になりつつあり、DDR4からの置き換えが進んでいます。高性能ミニPCにとって、DDR5は高い性能と低消費電力を両立できるメモリです。あとから増設しやすい点も、個人的には大きな魅力だと思います。
たとえば、GEEKOM A9 MaxミニPCは、同社のラインナップの中でも上位クラスのミニPCです。最大128GBのDDR5メモリと8TBのSSDストレージを搭載し、AIワークフローもスムーズに処理できます。

- AMD Ryzen™ 9 HX 370搭載 ミニPCのコストパフォーマンス王者
- AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 – AMD最新Zen 5アーキテクチャ採用
- AMD Radeon™ 890M – スムーズなゲーム & 3Dレンダリング
- AI性能を再定義 – 最大80TOPSのAI処理能力
- DDR5 SODIMM – 最大128GB
- M.2 SSDスロット×2、最大8TB – 内蔵: M.2 2280 PCIe 4.0(最大4TB)、空き: M.2 2230 PCIe 4.0(最大4TB)
- デュアル2.5G RJ45 LAN | Wi-Fi 7 | Bluetooth 5.4
- HDMI 2.1×2 | USB4.0×2 | USB3.2×5
- 4画面同時出力(最大8K解像度)対応
コンテンツ制作とビデオ編集
DDR5は、写真やビデオの編集、3Dモデルのレンダリング、プログラミング、データ処理などに向いています。ハイエンド構成なら、複雑なAIモデルにも対応できます。高速性と大容量メモリを求めるゲーマー、コンテンツクリエイター、ワークステーションユーザーにおすすめです。
サーバーとプロフェッショナルワークステーション
DDR5は、データセンターのサーバーや、ハイエンド構成のプロフェッショナルワークステーションでもよく使われています。ここでも、性能と低消費電力のバランスが評価されています。また、長時間稼働時の信頼性が高く、拡張性にも優れているため、将来性のある選択肢となっています。
まとめ
名前が似ているからこそ、特に注意が必要です。LPDDR5XとDDR5はどちらもSDRAMですが、構造も用途も異なります。LPDDR5XモバイルRAMは、基本的にマザーボードに直接はんだ付けされます。一方、DDR5は据え置き型システムで使われ、メモリを抜き差しするだけで増設や交換ができます。
つまり、LPDDR5XとDDR5の大きな違いは、どのプラットフォームで使うかです。GEEKOMのように、ノートパソコンやミニPCの両方で、LPDDR5X搭載モデルとDDR5搭載モデルを展開しているメーカーもあります。
よくある質問
Q: DDR5とLPDDR5X、どちらが優れていますか?
A: DDR5とLPDDR5Xのどちらが優れているかは、単純には決められません。どちらのSDRAMも、それぞれ別の用途で主流になっているからです。DDR5はデスクトップPCやワークステーション、LPDDR5Xはスマートフォンやノートパソコンで広く使われています。
Q: LPDDR5XはDDR5と比較し高速ですか?
A: ベンチマークでは、LPDDR5XとDDR5の速度はほぼ同等です。LPDDR5Xの転送速度は8,533 MT/s、DDR5はそれを少し上回る8,800 MT/sとされています。
Q: LPDDR5XとDDR5の違いは何ですか?
A: LPDDR5Xは、約0.5Vで動作する基板にはんだ付けされたチップで、スマートフォン、タブレット、超薄型ノートパソコンなどに使われます。DDR5はより汎用性が高く、約1.1Vで動作し、ミニPC、PC、ワークステーション、サーバーなどで使われています。
Q:LPDDR5XをDDR5に置き換えることができますか?
A:いいえ、基本的にはできません。両者に互換性はなく、LPDDR5Xはほとんどの場合マザーボードにはんだ付けされています。そのため、切り替えが可能なのは、CAMM2やLPCAMM2のような一部の特殊な方式に限られます。
Q:将来性があるのはどちらですか?
A:現在の市場を見ると、DDR5 RAMは将来性の高いソリューションと言えます。AIモデルにも対応しやすく、必要に応じて拡張できるためです。近年の価格変動により、低価格帯のシステムでも少しずつ採用しやすくなっています。
Q:ミニPCはLPDDR5XとDDR5のどちらをサポートしていますか?
A: モデルによって異なります。ミニPCには、LPDDR5X対応モデルもDDR5対応モデルもあります。GEEKOMのミニPCシリーズでは、GEEKOM A9 Mega Mini PCのようなLPDDR5X搭載モデルと、GEEKOM A8、GEEKOM A9 Max、GEEKOM GT13 MaxのようなDDR5搭載モデルの両方があります。





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