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VRAMとは?ゲーマーとPCユーザーのための完全ガイド

面白いゲームをプレイしていて、画面のリアルさに感動していたのに、突然カクつきやラグに悩まされたことはありませんか。プロのアーティストであれば、高解像度の映像を扱った途端に動画編集ソフトが頻繁にクラッシュ——そんな経験があるかもしれません。やっかいですが、その原因は意外と目立たない小さな部品、つまり「VRAM」にあることが多いのです。

ここでは、私をあなたのやさしいテックガイドだと思ってください。私は長年PCを組み立て、家族や友人がPCを最大限に活用できるよう手伝ってきました。VRAMのような小さなメモリが、コンピューター体験全体の良し悪しを左右する場面を何度も見てきました。このガイドでは、難しい言葉は避け、VRAMとは何か、なぜ重要なのか、そして実際にどれくらい必要なのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。

VRAMとは何ですか?

ここで扱うVRAMは Video Random Access Memory(ビデオ・ランダム・アクセス・メモリ)のこと。グラフィックカード(GPU)に載っている、映像表示のためだけに最適化された超高速メモリです。役割はシンプルで、画面に描画するために必要なあらゆる画像データを管理することです。

例として、PCのメインメモリであるシステムRAMを見てみましょう。システムRAMは非常に汎用的で、オペレーティングシステムやWebブラウザ、音楽プレーヤー、その他のアプリケーションの実行など、コンピューターのさまざまなタスクを処理します。ゲーム中であれば、ゲームのロジックやAI、その他のバックグラウンドタスクがシステムRAMを使います。一方で、ゲームの世界を描画する重い処理を担うのがVRAMです。4K解像度の膨大なピクセル、キャラクターの鎧の繊細なテクスチャ、薄暗い洞窟の複雑なライティングといったデータを扱います。

VRAMは物理的にグラフィックカード上にあるため、GPUへほぼ瞬時にデータを送信できます。この直接的な通信経路は、滑らかなレンダリングを行ううえで非常に重要です。もしGPUが必要なデータを都度システムRAMに取りに行くようだと待ち時間が生じ、カクつきやフレームドロップの原因になります。PC Magazineの専門家によれば、VRAMは「グラフィックのレンダリングに使用されるデータを一時的に保存する」ものです。つまりビデオカードは、別のストレージからの転送を待たずに、そのデータをすぐ利用できます。

まとめると、グラフィックスが複雑になるほど、データの保存と高速アクセスに必要なVRAM容量は増えます。高解像度テクスチャ、複雑な3Dモデル、高度なライティング効果などはVRAMを大きく消費します。容量が不足すると、GPUはより遅いシステムRAMとデータをスワップせざるを得ず、パフォーマンス低下につながります。

iGPU(統合GPU)上のVRAM

先ほど説明した独立したグラフィックカードと違い、すべてのグラフィック処理ユニットが独立したVRAMを備えているわけではありません。多くのコンピューター、特にノートパソコンや手頃な価格のデスクトップには、CPUにGPUが内蔵されています。これが統合型GPU(iGPU)です。メモリの扱いという点で、これらの内蔵グラフィックは独立GPUと同じではありません。

統合型GPUは、独自のVRAMを持つ代わりに、コンピューターのシステムRAMを共有します。メインメモリの一定量が、グラフィック処理を伴うタスク用に割り当てられます。この方式は「ユニファイドメモリアーキテクチャ」または「共有グラフィックメモリ」と呼ばれます。例えば、システムRAMが16GBの場合、内蔵GPUはそのうち2~4GBをグラフィックタスクに使用し、残りはCPUやその他のシステムプロセスが使います。

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この共有メモリ方式はコストと消費電力を節約できる一方、いくつかの欠点があります。内蔵GPUはCPUとメモリ帯域幅を競合するため、高速VRAMを搭載した専用グラフィックカードほど高速ではない可能性があります。また、グラフィックス処理に大量のメモリが使われるため、他のシステムタスクに使用可能なメモリが減ります。とはいえ、日常的なコンピューティング、軽いゲームシンプルなクリエイティブ作業であれば、AMDのRadeon GraphicsやIntelのIris Xeといった新しい統合型GPUは、コストと消費電力を抑えながら、驚くほど強力なパフォーマンスを提供できます。

おすすめ記事:2025年版グラフィックボードのおすすめ:最強GPU購入ガイド

VRAM使用量とは?

まず最初に、VRAMが何かを理解する必要があるので、それを説明します。ゲームをプレイしたり、グラフィックを多用するアプリを使うたびに、GPUは各フレームをレンダリングするためにVRAM内のデータへ絶えずアクセスします。VRAM使用量とは、ある時点でどれだけのVRAMが使われているかを指します。

では、この使用量の急増を引き起こす主な要因は何でしょうか。ポイントは次のとおりです。

  • 解像度:画面のピクセル数が増えるほどGPUの負荷は大きくなります。1080pの4倍のピクセル数を持つ4Kディスプレイでは、VRAMに保存すべきデータ量も大幅に増えます。
  • テクスチャ品質:ゲーム内のテクスチャは、3Dモデルをリアルに見せる高解像度画像のレイヤーです。品質を上げるほど多くのVRAMを消費します。PC Magazineの技術専門家によれば、ゲームではオブジェクトが画面上で占める解像度より高い解像度でテクスチャを保存することが多く、この方法ではVRAM使用量が10倍に増加します。
  • レイトレーシング:影や反射を非常にリアルに表現する最先端のライティング手法ですが、処理コストが高く、大量のデータを生成してVRAMに保持する必要があるため、パフォーマンスへの影響が大きくなります。
  • ゲームのMod(改造):PCゲームにModを追加すると、特に新しい3Dモデルや高解像度テクスチャを導入するものは、より多くのVRAMを消費します。

現代のゲームはグラフィックのリアルさの限界に挑戦しているため、VRAMの使用量が増加しています。最新のAAAゲームは、特に高設定にした場合、少なくとも10GBのVRAMを必要とする場合がほとんどです。これはクリエイティブな作業にも見られます。4Kや8Kの映像を扱うビデオエディターや、細部までこだわったシーンを制作する3DアーティストのVRAM使用量も増加しています。

👉VRAMの使用量を確認したいですか? これは簡単に確認できます。

Windows では、以下の手順でVRAMを確認できます。

  • 手順1:Windowsキー + Rを押して、「ファイル名を指定して実行」ダイアログボックスを開きます。
  • 手順2:「dxdiag」と入力してEnterキーを押し、DirectX診断ツールを起動します。
  • 手順3:「ディスプレイ」タブに移動します。
  • 手順4:「ディスプレイ メモリ」の横にある値を確認します。これは、システムの統合GPUで使用可能なVRAMを示しています。
Windows OS に搭載されている VRAM
統合GPUのVRAM

macOS では、左上のAppleアイコンをクリックし、「このMacについて」を選択すると、グラフィックカード名の横にVRAMが表示されます。また、VRAMの使用状況を示すグラフも表示されます。

macOS 上の VRAM

ゲームに適したVRAMの量は?

これは一概に答えが出せない質問です。最適なVRAM容量は、プレイするゲーム、解像度、そしてどの程度までグラフィック設定を上げたいかで変わります。

Fortnite、Valorant、インディーゲームなどを中心に遊ぶカジュアルゲーマーなら、さほど多くのVRAMは要らないかもしれません。一方、フレームレート重視の競技志向のゲーマーや、最新のAAAタイトルを最高画質で楽しみたい人は、より多いVRAMを求める必要があります。

TechSpot などの主要テックサイトは多くの検証を行い、2025年以降の目安を示しています。

1080pゲーミング:滑らかにプレイしたいなら、少なくとも 6~8GB のVRAMを推奨。6GBでも動きますが、8GBあれば最新タイトルで余裕が生まれ、高精細テクスチャも設定しやすくなります。

1440pゲーミング:多くのPCゲーマーが選ぶ解像度。8~10GB のVRAMで高いパフォーマンスが見込めます。解像度が上がるほどVRAMは必要になり、10GB あればパフォーマンス低下を防ぎやすくなります。

4Kゲーミング+レイトレーシング:4Kモニターで高度な機能を使うなら、少なくとも 12GB のVRAMが必要。TechSpotの2024年の詳細な検証では「ハイエンド環境では 12GBが下限、16GBが理想」とされています。

実例として、いくつかのGPUを見てみましょう。8GB VRAM の GeForce RTX 4060 はミッドレンジとして知られ、1080p では最適ですが、一部の新作では 1440p でスムーズに動かない場合があります。12GB VRAM を搭載する RTX 4070 に上げると、1440pでも快適さが大きく向上します。さらに上を目指すなら RTX 4080 / 4090。16GB/24GB のVRAMで、重い負荷にも余裕があります。

個人的な例をひとつ。昨年、初めてゲーミングPCを組む友人の相談に乗ったとき、予算の都合で 8GB のグラフィックカードを選ぼうとしていました。私は少しだけ予算を上げて 12GB のカードにするよう勧めました。数か月後、彼から感謝の連絡が。最新のグラフィック負荷が高いゲームを遊んでいて、8GB のカードを使う友人たちが苦戦する中、彼のPCは問題なし。VRAMを少し増やすだけで違いが出る 好例です。

本当に必要なVRAMの量は?(ユーザー別)

VRAMを意識すべきなのはゲーマーだけではありません。仕事やプライベートでPCを使う場面でも、VRAMは重要です。次に、いくつかのユーザータイプごとに必要なVRAMの目安を見ていきます。

ユーザータイプ別のVRAM要件

VRAM要件ガイド

VRAM要件ガイド

ワークフローに最適なグラフィックメモリを選びましょう

🎮

ハイエンドゲーム

8~16GB

高解像度・最高設定で高負荷のAAAゲームをプレイする場合

🎨

コンテンツ制作

8~16GB以上

ビデオ編集、3Dアート、グラフィックデザイン。大容量ファイルを扱うプロフェッショナルな作業には16GB以上

🤖

AI/ML研究

12~24GB

複雑なモデルのトレーニングや大規模データセットの処理。NVIDIA Quadroシリーズをご検討ください

💻

ノートパソコンとデスクトップの比較

💡 重要なポイント

デスクトップユーザーは後からGPUをアップグレードできますが、ノートパソコンのGPUは通常はんだ付けされています。ノートパソコンを購入する際は将来を見据えた十分なVRAMを選びましょう。

コンテンツクリエイター:動画編集、3Dアート制作、グラフィックデザインなどを行う方は、ハイエンドゲーマーと同等、あるいはそれ以上のVRAMを必要とする場合があります。4K動画のタイムライン操作、高解像度テクスチャを使った3Dモデリング、Photoshopで大量かつ大容量の画像を開くといった作業では、VRAMへの負荷が大きくなります。8~16GB のVRAMを搭載したグラフィックカードがおすすめです。特に非常に大きなファイルや複雑な3Dシーンを扱うプロフェッショナルは、16GB以上 のモデルも検討する価値があります。

AI/ML研究者:VRAMはAIや機械学習でも重要です。複雑なモデルの学習には膨大な計算とデータが必要で、VRAM容量が大きいほど大きなモデルやバッチが扱え、学習を大幅に高速化できます。本格的なAI/ML作業には、少なくとも 12~24GB のVRAMを搭載したグラフィックカードが必要です。大容量VRAMと専用ドライバーを備える NVIDIAのQuadroシリーズ のようなプロ向けカードが最適な選択肢となることもよくあります。

ノートパソコンとデスクトップパソコンのユーザー:両者の違いにも注意が必要です。デスクトップはVRAMが不足してもグラフィックカードを交換できますが、ノートパソコンのGPUはマザーボードにはんだ付けされていることが多く、選択肢が限られます。ゲームやクリエイティブ作業をするなら、数年間使えるだけのVRAMを搭載したノートパソコンを選ぶことが特に重要です。購入時にVRAMをケチらない――後からその価値を実感するはずです。

VRAMの使用を最適化する方法

VRAMが不足しているが、まだ新しいグラフィックカードは買いたくない——そんなときは、いくつかの対処法があります。VRAMを最大限に活用し、ハードウェアの動作を高速化しましょう。

まずはゲーム設定の調整です。VRAMの負荷を下げる最も確実な方法で、原因になりやすいのはテクスチャ品質。多くの場合、「超」から「高」に下げるだけで見た目を大きく損なわずにVRAMを大幅に解放できます。加えて、シャドウ/アンチエイリアシング/アンビエントオクルージョンの各設定も確認し、パフォーマンスと画質のバランスが取れるまで調整します。

アップスケーリング技術も有効です。NVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)やAMDのFSR(FidelityFX Super Resolution)は、ゲームを低解像度で描画し、AI等を使ってモニターのネイティブ解像度に引き上げます。これにより、画質への影響を最小限に抑えつつ、パフォーマンスを向上させ、VRAM使用量の削減にもつながります。ゲームがDLSSまたはFSRに対応している場合は有効化を検討してください。

最後に、バックグラウンドの不要プロセスを終了しましょう。多数のタブを開いたブラウザなどはVRAMを消費することがあります。ゲーム開始前に不要なアプリを閉じ、GPUリソースを確保してください。

結論

本記事では、VRAMとは何か、どのように機能するのか、そしてタスク別にどれくらいの容量が必要かまで、知っておくべきポイントを一通り解説しました。これを読んだことで、この重要なパーツについて理解が深まり、自信を持って活用できるようになれば幸いです。

適切なVRAM容量の選択は、結局のところ何を必要としているかで決まります。軽めのゲームしかしないのであれば、高額なグラフィックカードを用意する必要はありません。一方で、本格的なゲーマーやプロのクリエイターであれば、より大容量のVRAMを搭載したカードを選ぶことで、より滑らかで快適な体験が得られます。

私の目標は、PCハードウェアを賢く選ぶための情報を提供することです。PCの各コンポーネントは難しく感じられるかもしれませんが、少しのサポートがあれば、ニーズに合ったマシンを自作・購入できます。どうぞ、PCライフを存分に楽しんでください。

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GEEKOM JAPAN

ミニPC世界シェアのTop 3にランクインしているGEEKOMの公式ブログアカウントです。ミニPCの研究開発、生産、販売に特化しており、台湾に研究開発本部を構え、世界各国に支社を展開しています。公式ブログでは、Geekom新製品の情報や活用方法、お役立ちのテクニックなどを配信しています。

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