
AMD Ryzen 5シリーズをチェックしている方なら、Ryzen 5 5500と5600を目にしたことがあるでしょう。これらのプロセッサーは、ミドルレンジのCPUセグメントで高い人気を集めることが予想されています。一見すると両者はよく似ていますが、ゲーム性能や作業効率に影響を与える重要な違いが存在します。フレームレートを重視するコストパフォーマンス重視のゲーマーや、日常的な作業やクリエイティブなタスクに対応できるプロセッサーを求めるマルチタスクユーザーにとって、どちらを選ぶかが大きな違いを生むことになるでしょう。
では、Ryzen 5 5500と5600の違いはどこにあるのでしょうか?5600は、その価格差に見合う価値があるのでしょうか?それとも、カジュアルな用途であれば5500で十分なのでしょうか?この記事では、それぞれのアーキテクチャの違いやゲームにおけるベンチマーク、作業効率、コストパフォーマンスなどを詳しく比較し、自分のニーズや予算に合ったCPUを選ぶための判断材料を提供します。
Ryzen 5 5500 vs Ryzen 5 5600: 仕様とアーキテクチャ
Ryzen 5 5500とRyzen 5 5600は、どちらもAMDのZen 3アーキテクチャを採用しており、全体的なパフォーマンス、効率性、価格のバランスに優れていると評判です。両者は多くの点で共通していますが、いくつかの仕様に違いがあり、それが実際のパフォーマンスに影響を及ぼす場合があります。以下に、両者の主な仕様を表形式で比較しました。
仕様 | AMD Ryzen 5 5500 | AMD Ryzen 5 5600 |
---|---|---|
コア/スレッド | 6コア / 12スレッド | 6コア / 12スレッド |
ベースクロック | 3.6 GHz | 3.5 GHz |
ブーストクロック | 最大4.2 GHz | 最大4.4 GHz |
総L2キャッシュ | 3MB | 3MB |
総L3キャッシュ | 16MB | 32MB |
TDP(熱設計電力) | 65W | 65W |
ご覧の通り、コア数やスレッド数は両モデルとも同じで、どちらもマルチタスクや並列処理に強みを持っています。ただし、Ryzen 5 5600はRyzen 5 5500よりもわずかに高いクロックで動作します。特に、ブーストクロックは5600が4.2GHz、5500が4.0GHzと、若干ながら差があります。この違いが、特にゲームにおけるシングルスレッド性能に影響を与える要因となります。
また、L3キャッシュの容量にも大きな違いがあります。Ryzen 5 5600は32MBのL3キャッシュを搭載しており、5500の16MBと比べて2倍の容量です。このキャッシュの差は、データ集約型のアプリケーションやゲームにおけるパフォーマンスに大きな影響を与えます。キャッシュ容量が大きいほど、CPUは必要なデータにより迅速にアクセスできるため、レイテンシが低減し、特に負荷の高い処理でパフォーマンスが向上します。
さらに、Ryzen 5 5600はPCIe 4.0に対応しており、グラフィックカードやSSDとのデータ転送速度が高速です。一方、Ryzen 5 5500はPCIe 3.0に制限されています。この違いは、システムの用途によっては重要となる場合があります。
Ryzen 5 5500 vs Ryzen 5 5600: ゲーム性能の比較
ゲームに関しては、Ryzen 5 5500とRyzen 5 5600のどちらも十分なパフォーマンスを発揮しますが、いくつかの重要な違いがあります。両モデルは同じコア数とスレッド数を備えていますが、Ryzen 5 5600は、わずかに高いブーストクロックと大容量のL3キャッシュにより、ゲームにおいてより優れたパフォーマンスを示します。
以下は、RTX 4060を使用し、フルHD(1080p)でテストした人気ゲームの推定FPSです:
ゲーム | Ryzen 5 5500 (FPS) | Ryzen 5 5600 (FPS) |
---|---|---|
Cyberpunk 2077 | 131 FPS | 135 FPS |
Shadow of the Tomb Raider | 170 FPS | 179 FPS |
Far Cry 6 | 195 FPS | 205 FPS |
Assassin’s Creed Valhalla | 147 FPS | 149 FPS |
Forza Horizon 5 | 243 FPS | 245 FPS |
Rainbow Six Siege | 266 FPS | 281 FPS |
このように、Ryzen 5 5600はさまざまなゲームで、常にRyzen 5 5500を上回るフレームレートを記録しています。その差は控えめなものから明確なものまで幅がありますが、『Far Cry 6』や『Shadow of the Tomb Raider』などのタイトルでは、5600の大容量キャッシュとわずかに高いクロック速度が、より滑らかなゲームプレイと優れたパフォーマンスを実現します。特に、複雑なテクスチャや高速な動きが多いシーンでその効果が顕著です。また、『Rainbow Six Siege』のような比較的軽量なゲームでも、わずかなフレーム数の差が競技プレイヤーにとっては大きなアドバンテージとなることがあります。
総じて、Ryzen 5 5600は、CPUに負荷のかかるゲームでもスムーズなゲームプレイを求めるゲーマーにとって、より優れた選択肢と言えます。一方で、Ryzen 5 5500も十分な性能を持っており、フレームレートをそこまで重視しない場合は、コストパフォーマンスに優れた魅力的な選択肢となるでしょう。
生産性とマルチスレッド性能
Ryzen 5 5500とRyzen 5 5600は、どちらも6コア12スレッドを備えた強力なマルチコア設計のCPUです。5600は、より高いブーストクロックと増量されたL3キャッシュにより、動画編集や3Dレンダリング、マルチタスク処理などでわずかに優れた性能を発揮します。
以下は、主な生産性向けアプリケーションでの両者の性能比較です。
ベンチマーク/アプリケーション | Ryzen 5 5500 | Ryzen 5 5600 |
---|---|---|
Cinebench R23(マルチコア) | 10,550 | 11,800 |
Blender(クラスルームレンダリング、秒数が短いほど良い) | 172秒 | 158秒 |
Adobe Premiere Pro(4Kエクスポート) | 225秒 | 210秒 |
Geekbench 5(マルチコア) | 6,700 | 7,300 |
表からも分かるように、Ryzen 5 5600はさまざまな作業でより高いスコアを記録しています。増加したL3キャッシュと高いクロック速度が、大容量ファイルの処理や複数プロセスの同時実行において大きな効果を発揮します。Blenderでは5600がより高速にレンダリングを行い、Adobe Premiere Proではエクスポート時間が短縮されます。この差は一見わずかに思えるかもしれませんが、作業量が増えるほどその違いは確実に積み重なっていきます。
マルチタスクやクリエイティブな作業を重視するならRyzen 5 5600が最適です。一方で、日常的な作業や軽めのマルチタスクなら、コストを抑えながらも十分なパフォーマンスを発揮するRyzen 5 5500が魅力的な選択肢になるでしょう。
電力効率と消費電力
Ryzen 5 5500と5600はどちらもTDP(熱設計電力)が65Wに抑えられており、電力効率に優れています。5600はブーストクロックの高さとキャッシュ容量の増加により、負荷が高い場面やオーバークロック時には若干多くの電力を消費しますが、通常使用ではほぼ同じ消費電力に収まります。
特にパフォーマンスあたりの消費電力で見ると、Ryzen 5 5600の方がわずかに効率的です。高クロックと大容量のL3キャッシュの恩恵を受けるワークロードでは、より少ない消費電力で高いパフォーマンスを発揮します。例えば、軽めのゲームでは5600の方が省電力かつ快適に動作することが多いです。
とはいえ、どちらのCPUも電力効率に優れたコストパフォーマンスを誇っており、電力消費を気にする人にも適した選択肢といえます。ただし、より高い効率を求めるのであれば、Ryzen 5 5600の方が一歩リードしていると考えられます。
オーバークロック性能と熱管理
両CPUともTDPは65Wと低めに設定されており、比較的扱いやすいモデルですが、オーバークロックを行うと消費電力と発熱量が増加するので注意が必要です。特にAMD Ryzen 5 5600は、もともと高クロックで動作する設計のため、オーバークロック時にはより高温になりやすい傾向があります。とはいえ、適切な冷却環境を整えれば、安定したパフォーマンスを維持することは十分可能です。
オーバークロックを前提とするなら、Ryzen 5 5600を選ぶのが無難です。高クロック設定でも安定して動作し、負荷の高い作業でもスロットリング(性能低下)が起きにくいため、パフォーマンスをしっかり引き出せます。一方、 AMD Ryzen 5 5500もオーバークロックは可能ですが、熱管理を考慮すると過度なオーバークロックは避けたほうが安全でしょう。
どちらのCPUも、適切な冷却さえ行えば、日常的な使用や軽めのオーバークロックには十分対応できます。ただし、本格的なオーバークロックを視野に入れている場合は、Ryzen 5 5600を選んだ方が、より安定したパフォーマンスを引き出せるでしょう。
価格とコストパフォーマンス
AMD Ryzen 5 5500と5600は、ターゲットとするユーザー層に違いがあるものの、基本的には非常に似たスペックを持つCPUです。
Ryzen 5 5500は、日常的な作業や軽めのゲームに十分対応できる性能を備えており、コストを抑えたい方に適した選択肢です。
一方で、Ryzen 5 5600は、ゲームやクリエイティブ系アプリケーションなどで、より高いパフォーマンスを求めるヘビーユーザーに向いています。
ただし、両者の価格差はそれほど大きくないため、用途や予算に応じて慎重に選ぶことが重要です。
正直なところ、フレームレートあたりのコストを重視するゲーマーには、Ryzen 5 5600をおすすめします。高クロックと大容量キャッシュにより、ゲーム性能が向上し、快適なプレイが可能です。一方で、予算を抑えたい場合や、ゲームや生産性作業で多少のパフォーマンス低下を許容できるのであれば、Ryzen 5 5500は非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えるでしょう。
総じて、どちらのCPUもコストパフォーマンスに優れており、ほぼ互角の性能を発揮します。
AMD CPU搭載おすすめモデル

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まとめ
AMD Ryzen 5 5500と5600の性能差はそれほど大きくありませんが、5600の方がやや優れたパフォーマンスを発揮します。その分、価格はやや高めですが、それでもコストパフォーマンスは良好です。コストを抑えつつ、日常的な使用や軽いゲームに十分な性能を求める方には、Ryzen 5 5500をおすすめします。
ただし、プラットフォームの割引や、Ryzen 5 5600が5500とほぼ同じ価格で販売されているケースも考慮すると、両者の価格差はそれほど大きくありません。最終的には、自分の用途や予算に応じて選ぶのが良いでしょう。
もし私が1つ選ぶとすれば、Ryzen 5 5600を強くおすすめします。その理由は、5600が5500を上回るCPU性能を備えており、長時間の使用でも安定した動作を維持できるからです。
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