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Chromebox とは?2025年に買うべき理由を解説

Chromeboxは10年以上前から存在しているものの、Chromebookのようなノート型端末と比べると、あまり注目されてこなかった印象があります。実際、多くの人はこの小型デスクトップPCの存在すら知らず、次のデスクトップコンピューターの候補として検討することはほとんどありません。

しかし最近では、Chromeboxの性能やコストパフォーマンスの良さに注目した記事やレビュー動画が、インターネット上で数多く見られるようになっています。
とはいえ、Chromeboxが自分の使い方に合うのかどうかを見極めるには、いくつか注意すべきポイントがあります。

この記事では、まずChromeboxとは何かをわかりやすく解説し、WindowsミニPCとの違いを比較しながら、Chromeboxを所有するメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。

Chromeboxとは

Chromeboxは、2012年5月に初めて販売が開始された、GoogleのChrome OSを搭載した小型デスクトップPCです。

ノート型のChromebookとは異なり、Chromeboxにはディスプレイやキーボードは内蔵されておらず、モニターやテレビ、プロジェクターなどに接続するための映像出力端子と、キーボード・マウスなどの入力機器用USBポートを備えています。USB 3.2ポートを搭載しているモデルもあり、高速なデータ転送や多様な接続性を実現しています。

ChromeboxとChromebookの違いとして、Chromebookにはタッチスクリーン搭載モデルが多く、直感的な操作やスタイラス対応が可能です。一方、Chromeboxは外部ディスプレイの選択肢が豊富で、用途に応じた柔軟な環境構築ができます。

Chromebookは広く普及しており、入手も容易ですが、Chromeboxの市場は比較的ニッチで、選べるブランドやモデル、スペック構成のバリエーションは限られています。

2022年にリリースされた新型Chromeboxは、HP Chromebox G3とASUS Chromebox 4のみであり、どちらも比較的古いハードウェアを搭載しています。Lenovoは、第12世代Intel Coreプロセッサーを搭載した新機種「Lenovo ThinkCentre M60Q Chromebox」を発表しており、これは当時、最も高性能なChromeboxと考えられていました。Lenovo ThinkCentre M60Q Chromeboxは、処理速度が非常に高く、マルチタスクや高負荷な作業にもスムーズに対応できる点が特徴です。ただし、2025年時点では、Lenovoはこのモデルの販売をすでに終了しています。

Chromeboxのメリット

軽量で使いやすいオペレーティングシステムと、省電力性に優れた比較的シンプルなハードウェアを備えたChromeboxには、以下のような多くのメリットがあります。

省電力性能

Chromebookが高い人気を集めている理由のひとつに、優れたバッテリー持続時間があります。最新のChromebookでは、1回の充電で15時間以上の連続使用が可能ですが、WindowsノートPCでは10時間を超えるだけでも簡単ではありません。

Chromeboxにはバッテリーは搭載されていないものの、同様に低消費電力のプロセッサーとSSDを採用しているため、一般的なデスクトップPCと比べてはるかに電力効率に優れています。常時稼働させるような使い方でも、省エネ設計による恩恵をしっかりと実感できるでしょう。

セキュリティ

Chrome OSは、クラウド利用を前提として設計されたシステムです。Google Docsによる文書作成、Google Driveでのファイル保存、Google Photosによる写真のバックアップなど、Googleの各種サービスと密接に連携しています。

OSは起動時に自動で自己診断を行い、万が一バックグラウンドで問題が発生しても、自動で修復を試みます。また、Chromeboxがインターネットに接続されると、セキュリティパッチが自動的に適用され、常に最新の脅威から保護される仕組みになっています。

ローカルストレージ内のデータもすべて暗号化されるため、ウイルスやその他のマルウェアによる侵害の可能性は極めて低くなっています。さらに、chrome enterpriseを利用することで、Google管理コンソールやZero-touch登録などの機能を通じて、組織全体のデバイス管理やセキュリティ強化が容易に行えます。

AndroidとLinuxとの互換性

Chrome OSではGoogle Playストアが利用できるため、多くのAndroidアプリやゲームをChromeboxでもダウンロード・実行できます。とはいえ、一部のアプリはデスクトップ環境に最適化されていない場合があり、動作に制限が出ることもあります。

デスクトップ向けアプリが必要な場合は、ChromeboxにLinux環境を導入するのもひとつの方法です。たとえば、Audacity(音声編集)、GIMP(画像編集)、OBS Studio(配信・録画)、Steam(ゲームプラットフォーム)、VirtualBox(仮想化ソフト)など、人気の高いLinux対応アプリケーションを自由に利用できます。

メンテナンス性

Chromeboxはメンテナンスやサポートの手間が少なく、トラブルが発生しても大抵は手軽に対処できます。仮に修復が難しい問題が起きた場合でも、「Powerwash」機能を使えば、OS全体を初期状態にリセットし、クリーンな状態で再スタートすることが可能です。

価格

Chromeboxの大きな魅力のひとつは、その圧倒的なコストパフォーマンスです。もっとも安価なモデルであれば2万円未満から手に入り、多くの主力製品でも5万円前後と、非常に手頃な価格帯となっています。

この価格の秘密は、GoogleがChromeboxメーカーにOSのライセンス料を課していないことにあります。Windows搭載のミニPCでは、Microsoftへのライセンスコストが価格に上乗せされるため、同等のハードウェア構成であっても、Chromeboxの方がリーズナブルに購入できるケースが多いのです。


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エンタープライズ向け機能

chromeboxは、個人利用だけでなくエンタープライズ用途にも優れた機能を備えています。特にasus chromeboxシリーズのエンタープライズモデルは、最新のアプリケーションを快適に利用できる高い処理能力を持ち、ビジネス現場での生産性向上に貢献します。導入もスムーズで、初期設定や展開が迅速に行えるため、ITリソースの最適化を実現します。

また、googleの管理コンソールやサードパーティーのUEMプロバイダーと連携することで、IT管理者はリモートから複数のデバイスを一元管理できます。ポリシー設定やアプリケーションの配布、セキュリティ管理も直感的に行えるため、企業規模を問わず効率的な運用が可能です。chromeboxは、エンタープライズ環境においても信頼性の高いデバイスとして設計されており、管理性と拡張性を両立しています。

Chromeboxの課題

Chromeboxは、多くのユーザーにとって、生産性やエンタメ用途に必要な基本機能をしっかり備えた頼れる一台です。しかし、すべてのニーズに完璧に応えるわけではないことも理解しておく必要があります。

ローカルストレージ容量の制約

Chrome OSはクラウドベースでの利用を前提としているため、基本モデルのストレージは32GBまたは64GBのeMMCが主流です。上位モデルであっても、128GBのSSDにとどまるケースがほとんど。ファイルをローカルに大量保存したい人には、やや物足りない仕様かもしれません。

マルチメディア編集には不向き

動画編集や写真加工など、高度なマルチメディア編集を必要とする作業には制限があります。PhotoshopやPremiere ProといったAdobeのデスクトップアプリは使用できず、利用できるのは機能が制限されたWeb版やAndroidアプリのみ。プロユースにはやや力不足です。

ハードウェア性能は控えめ

Chromeboxは、最新ハイスペックCPUやGPUを搭載しているわけではありません。たとえば、現時点で最上位とされるHP Chromebox G3でも、第10世代のIntel Core i7-10610Uを採用しており、処理性能は限定的。動画レンダリングや3Dゲームなど、負荷の高い作業には明らかに不向きです。

ゲーム環境としての限界

AAAタイトルをプレイする本格ゲーマーにとって、Chromeboxはあまり適した選択肢ではありません。Chrome OSはWindows向けの多くの人気ゲームに対応しておらず、また本体のグラフィックス性能も高くありません。StadiaやGeForce Nowといったクラウドゲームサービスは利用可能ですが、滑らかなプレイには高速かつ安定したネット接続が必須です。また、タッチ操作に最適化されたAndroidゲームも、Chromeboxでは基本的にマウスとキーボード操作となるため、快適性に欠ける場面もあります。

ChromeboxとWindowsミニPC:どちらを選ぶべきか

Chromeboxはそのコンパクトなサイズから、いわゆる「ミニPC」の一種と見なされます。そのため、従来のWindows搭載ミニパソコンと比較するのは自然なことでしょう。両者には多くの共通点がありますが、いくつかの決定的な違いも存在します。

選択肢の幅

Windowsミニパソコンの最大の魅力の一つは、製品の選択肢が非常に豊富であることです。エントリー向けのCeleron搭載機から、最新のIntel Core i9AMD Ryzen 9を搭載したハイエンド機まで、多彩なスペックと価格帯が揃っています。WindowsミニPCを製造するメーカーは世界中に何百社も存在し、毎年新モデルが登場しています。

windows11搭載のミニPC

一方、Chromeboxを製造しているメーカーはごくわずかで、製品ラインの更新も限られています。そのため、選択肢の少なさはユーザーにとって大きな制約となるでしょう。

性能の違い

性能面では、一般的にWindowsミニPCの方が上回ります。たとえば、Core i9-12900HやRyzen 9 6980HXを搭載したモデルは、最高クラスのChromebox(第10世代Core i7搭載)を大きく凌駕する処理能力を発揮します。

WindowsミニPCなら、4K動画の編集や重たいゲームも快適に動作しますが、Chromeboxは基本的な作業に特化した性能にとどまります。

ソフトウェアの互換性

Windowsは、最新ゲームからレガシーアプリまで、非常に幅広いソフトウェアに対応している点が大きな利点です。

以前は、AndroidアプリやLinuxアプリが使えるという点がChrome OSの強みでしたが、Windows 11でも「Windows Subsystem for Android」「Windows Subsystem for Linux」が導入され、Windows上でもAndroid・Linuxアプリが利用可能になりました。これは、Chrome OSの優位性を揺るがす大きな変化といえるでしょう。

2025年にChromeboxを購入すべきか

結論として、Chromeboxは文書作成・Webブラウジング・動画視聴など、日常的な用途をメインとするユーザーには最適な選択肢です。省電力性とシンプルな操作性を重視する方には、十分な性能を発揮します。

しかし、4K動画の編集や本格的なゲーミング、重いマルチタスクを求めるパワーユーザーには、より柔軟性と処理能力の高いWindowsミニPCの方が適しています。

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GEEKOM JAPAN

ミニPC世界シェアのTop 3にランクインしているGEEKOMの公式ブログアカウントです。ミニPCの研究開発、生産、販売に特化しており、台湾に研究開発本部を構え、世界各国に支社を展開しています。公式ブログでは、Geekom新製品の情報や活用方法、お役立ちのテクニックなどを配信しています。

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