
Intel Core Ultra 9 285HとAMD Ryzen AI 9 HX 370は、現在購入可能なミニPC向けプロセッサーの中でもトップクラスの存在です。どちらも小型筐体からは想像できないほどのパワーを引き出せますが、自分にとってのベストは使い方によって変わります。本記事では、スペック、ゲーミング性能、AI機能といったポイントを網羅的に解説しています。2025年以降も通用する最高のプロセッサーを見つけましょう。
一目でわかる:Intel Core Ultra 9 285H vs AMD Ryzen AI 9 HX 370
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ハイブリッドコア設計高性能コア(P-cores)と高効率コア(E-cores)を組み合わせ、賢く電力管理を行うアーキテクチャです。
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スマートスイッチング負荷状況に応じて、高性能動作と省電力動作を自動で切り替えます。
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汎用性の高いパフォーマンスパワーが必要なときは最大限の性能を引き出し、そうでないときは電力効率を優先します。
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AIファースト設計アーキテクチャの設計段階からAI機能を中核に据えて開発されたプロセッサーです。
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XDNA 2 NPUAIアプリケーションやAI処理を高速化する強力なNPU(Neural Processing Unit)を搭載しています。
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強化されたAI機能次世代のAIアプリケーションや、AIエフェクトを活用したビデオ会議などに最適化されています。
スペック比較:主要仕様をチェック
まずは、両プロセッサーの主なスペックを比較してみましょう。それぞれ優れているポイントがひと目でわかるようにハイライトされています。
| 項目 | Intel Core Ultra 9-285H | AMD Ryzen AI 9 HX 370 |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | Meteor Lake(Intel 4) | Zen 5(TSMC 4nm) |
| コア/スレッド数 | 16コア/16スレッド | 12コア/24スレッド |
| 最大動作クロック | 5.4 GHz | 5.1 GHz |
| 統合グラフィックス | Intel Arc 140T | Radeon 890M |
| AI性能 | 13 TOPS(NPU | 50 TOPS(NPU) |
| メモリサポート | DDR5-6400 | LPDDR5X-8000 |
Intel Core Ultra 9 285Hアーキテクチャーについて:AI機能とパフォーマンスの詳細は、こちらをクリック。
ご覧の通り、勝負はかなり拮抗しています。統合グラフィックス性能とAI処理能力ではAMDがリードしている一方で、クロック周波数やメモリサポートの面ではIntelに分があります。用途によって、どちらを重視するかがポイントになってきます。
アーキテクチャとテクノロジー
Intelのハイブリッドアプローチ:専門家チーム
Core Ultra 9 285Hは、EコアとPコアという2種類のコアで構成されたハイブリッドCPUです。Pコア(Performance-cores)は、動画編集のような多くの電力を消費する処理に最適。一方のEコア(Efficiency-cores)は、バックグラウンド処理などを引き受けて、消費電力を抑えつつ全体の処理をスムーズにこなします。ここで重要な役割を果たすのが「Intel Thread Director」です。この仕組みが、どのタスクをどのコアに割り当てるべきかをリアルタイムに判断し、常に最適な形で負荷を振り分けてくれます。このスマートなシステムにより、パワーと効率性を両立できるのです。
AMDのZen 5:統合されたパワーハウス
これに対して、AMDのZen 5アーキテクチャはより伝統的なスタイルです。コアの種類を分けず、すべてのコアが同じタイプ・同じ性能を持つ構成になっています。つまり、どのコアも「何でも任せられるヘビーデューティなコア」であり、どれに仕事を振っても高いパフォーマンスが期待できます。Ryzen AI 9 HX 370には、このZen 5コアが12基搭載されており、同時マルチスレッディングによって最大24スレッドを同時処理可能です。クリエイティブ用途など、重いマルチタスクをガンガン回したいユーザーにはうってつけの構成と言えます。NotebookCheckの専門家によると、Zen 5アーキテクチャは前世代と比べてIPC(1クロックあたりの命令実行数)が約15〜16%向上しており、実アプリケーションでもしっかりとした速度向上が体感できると評価されています。
AI時代の主役:NPU対決
ここ数年、PCの世界で最もエキサイティングな変化のひとつがAIの進化です。今回の2つのプロセッサーには、いずれもNPU(Neural Processing Unit)が搭載されています。NPUはAI処理専用に設計された「ミニブレイン」のような存在で、機械学習や推論タスクを高速かつ省電力でこなします。なかでもRyzen AI 9 HX 370は、このNPU性能が大きな差別化ポイントです。XDNA 2ベースのNPUは、最大50 TOPS(1秒間に数十兆回の演算)という非常に高いAI処理能力を誇り、統合型AIとしては大きな飛躍と言えます。一方、Core Ultra 9 285HのNPUは13 TOPSクラスです。どちらのプロセッサーもWindows 11のAI機能を問題なく利用できますが、より重いAIアプリやローカル推論をしっかり回したい場合は、Ryzen側にかなり余裕があると言えるでしょう。
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ベンチマークで見る性能:実力チェック
- シンセティックベンチマーク:実際の数値を確認する
プロセッサーのポテンシャルを知るうえで有力な指標となるのが、「シンセティックベンチマーク」。今回はGeekbench 6とCinebench R24という代表的なベンチマークを用い、シングルコア性能とマルチコア性能の両方をチェックしました。
多くのゲームやスレッド数の少ないアプリのように、1つの強力なコアに依存する処理では、シングルコア性能が重要になります。Geekbench 6の結果によると、Intel Core Ultra 9 285Hのスコアは2,897で、競合となるプロセッサーよりわずかに高い数値です。これに対し、AMD Ryzen AI 9 HX 370のスコアは2,593。クロック周波数が高い分、Intelチップのほうがわずかにシングルスレッド性能に優れており、こうした用途では若干有利となる可能性があります。
注目したいのがマルチコア性能です。プロセッサーが同時にどれだけ多くの処理をさばけるかは、重いマルチタスクや動画編集、3Dレンダリングなどで重要になります。Geekbench 6のマルチコアテストでは、Intel Core Ultra 9 285HとAMD Ryzen AI 9 HX 370はそれぞれ17,173点と13,320点という優れたスコアを記録しましたが、このテストではコア数の多いIntelチップが明らかに有利でした。
このように、Geekbench 6のシングルコア・マルチコア双方の結果を見る限り、Intel Core Ultra 9 285Hが一歩リードしていると言えます。ただし、こうしたシンセティックベンチマークだけでは、実際の使い勝手は分かりません。次は、リアルな利用シーンにおいて両プロセッサーがどのようなパフォーマンスを見せるかを見ていきましょう。
生産性と実作業のパフォーマンス:毎日の「仕事ぶり」は?
ベンチマークのスコアは見ていて楽しい指標ですが、最も重要なのは「実際の作業でどれだけ快適に動くか」です。学生であれ社会人であれ、あるいはコンテンツクリエイターであれ、日々のタスクをストレスなくこなせるプロセッサーであることが求められます。そこで、両プロセッサーを実際のワークロードに近いテストで比較しました。
オフィスワーク・一般的な用途
Webブラウジング、メール送受信、ドキュメント作成といった日常的な作業については、どちらのプロセッサーも余裕があり、いずれも動作面で大きな問題はありません。そのうえで、シングルコア性能に優れるIntel Core Ultra 9 285Hは、大きなファイルの取り回しや複雑なスプレッドシートの処理など、1つのコアに負荷が集中するような場面では、わずかに有利と言える結果になりました。
コンテンツ制作
コンテンツ制作を行う場合、Adobe PhotoshopやPremiere Pro、DaVinci Resolveといった負荷の大きいアプリケーションをしっかり動かせるかどうかがポイントになります。テストでは、両プロセッサーとも総じて高いパフォーマンスを発揮しましたが、動画編集や3Dレンダリングといった分野では、コア数の多さと強力なマルチコア性能を持つIntel Core Ultra 9 285Hが一歩リードする結果となりました。Premiere Proでの4K書き出しテストでも、Intelチップは一貫してRyzen AI 9 HX 370より短い時間で処理を完了しています。Tom’s Hardwareの専門家も、Core Ultra 9 285Hはマルチコア性能が大きく向上しており、こうしたクリエイティブ系ワークロードにとって重要な強みになっていると評価しています。
ゲーミング性能:さあ、ゲームを始めよう
統合グラフィックス:2つのGPUの物語
AMD Ryzen AI 9 HX 370にはRadeon 890Mが、Intel Core Ultra 9 285HにはIntelの新しい統合GPUであるArc 140Tが搭載されています。どちらも優秀なGPUですが、純粋な性能面ではRadeon 890Mが一歩リードしています。NotebookCheckの検証によれば、Radeon 890Mは多くの最新AAAタイトルを1080p・低〜中設定で快適にプレイできるだけのパワーを備えています。
AIの王者についてより詳しく知りたいなら:AMD Ryzen AI 9 HX 370の性能を検証
ゲーミングベンチマーク:FPS対決の結果
実際のゲームでどれくらいフレームレートが出るのかを確認するため、いくつかの人気タイトルで両プロセッサーをテストした結果がこちらです。
| ゲーム | Intel Core Ultra 9-285H(Arc 140T) | AMD Ryzen AI 9 HX 370(Radeon 890M) |
|---|---|---|
| Cyberpunk 2077(1080p/中設定) | 約40 FPS | 約45 FPS |
| Starfield(1080p/中設定) | 約35 FPS | 約40 FPS |
| Forza Horizon 5(1080p/高設定) | 約47 FPS | 約55 FPS |
| Gears 5(1080p/高設定) | 約51 FPS | 約60 FPS |
ご覧の通り、いずれのタイトルでもAMD Ryzen AI 9 HX 370側が一貫して高いフレームレートを記録しています。統合GPUとしての純粋な描画性能が高いぶん、Radeon 890Mはゲーミング用途において明らかに優位であり、カジュアルゲーマーにとって有力な選択肢と言えるでしょう。
結論:どちらを選ぶべき?
ここまで見てきた情報を踏まえると、正解は一つではありません。Intel Core Ultra 9 285Hも、AMD Ryzen AI 9 HX 370も、どちらも非常に優れたプロセッサーです。最終的にどちらがベストかは、ニーズと優先順位によって決まります。
Intel Core Ultra 9 285H がおすすめ
- Adobe Premiere Pro や DaVinci Resolve など、重めのクリエイティブアプリを可能な限りスムーズに動かしたい
- 複数作業を同時に進めることが多く、それに耐えられるマルチタスク性能が欲しい
- ゲームやスレッド数の少ない軽量アプリでは、可能な限り高いシングルコア性能を求める

AMD Ryzen AI 9 HX 370がおすすめ
- たまにゲームを楽しむ程度で、専用グラボなしでも可能な限り快適にプレイしたい
- AI分野への関心が高く、最新のAI機能やAI対応アプリを積極的に活用したい
- 処理性能・価格・電力効率のバランスが取れた、総合力の高いプロセッサーを選びたい

まとめ
最終的には、どちらのプロセッサーを選んでも後悔することはないでしょう。Intel Core Ultra 9 285Hも、AMD Ryzen AI 9 HX 370も、今後数年にわたって快適なPC体験を支えてくれる高性能チップで、どちらを選んでも間違いはありません。自分がPCで何をしたいのか、どこに優先順位を置くのかを整理したうえで、自分のニーズに最も合ったプロセッサーを選んでください。






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