音楽制作向けパソコンのおすすめ5選

　本格的に音楽制作に取り組みたい場合は、高品質のコンピューターが不可欠です。すべての編集タスクを処理し、あなたの情熱と才能を本物の音楽に変えるのに役立ちます。

　PC は音楽制作ワークフローを高速化する場合もあれば低速化する場合もあるため、慎重に選択する必要があります。本記事では、音楽制作向けパソコンをご紹介します。

パソコンハードウェアの重要性

　通常、音楽の録音と編集には最高スペックのパソコンは必要ありませんが、作業を効率的に行うには、適切なハードウェアを備えた PC が必要です。以下に最も重要なコンポーネントを示します。

1.CPU（プロセッサー）

　楽曲制作には特殊なCPU要件があり、すべてのプロセッサーがこの用途に適しているわけではありません。多くのチップメーカーはCPUのマルチコア性能を重視する傾向にありますが、オーディオ処理において真に重要なのは、シングルコアの性能です。

　高速なシングルコア性能を持つCPUであれば、ミックスを単一ファイルに素早く書き出し、遅延なくエフェクトやエフェクトチェーンを処理することができます。

　Intelのハイエンドプロセッサーは、通常AMD APUやARMベースのプロセッサーよりも優れたシングルコア性能を発揮するため、オーディオ編集に最適な選択肢となります。

2.GPU（グラフィックス）

　ゲームや動画制作ではGPU性能が作業効率を大きく左右しますが、音楽制作には最高性能のグラフィックスカードは必要ありません。

　ただし、複雑なオーディオの処理や編集では複数のモニターを使用することが多いため、パソコンのGPUが複数画面出力に対応していることを確認する必要があります。

3.メモリ（RAM）

　RAMは、パソコンが同時に処理できるタスクの数を決定づける要素です。プロ仕様のオーディオ編集ソフトウェアの実行には、多くの場合大容量のRAMが必要となります。楽曲制作プロジェクトの規模が大きくなるほど、より多くのRAMが必要になります。

　デスクトップPCや多くのミニPCでは、後からRAMを増設できるため、初期の搭載容量にこだわる必要はありません。しかし、多くの薄型ノートPCではRAMがマザーボードに直付けされているため、長期間使用する予定がある場合は、最低でも16GBのRAMを搭載したモデルを選択することをお勧めします。

4.ストレージ

　音楽制作に必要なストレージ容量を一概に決めることは困難です。制作者それぞれのニーズが異なるため、絶対的な基準は存在しません。ただし、ストレージ容量が不足すると作業の進行に支障をきたし、ワークフローに悪影響を及ぼす可能性があります。

　一般的に、本格的な音楽制作者にとって500GBが最低ラインとされていますが、定期的に複数のプロジェクトを同時進行で扱う場合は、1TB以上のストレージへのアップグレードをお勧めします。

5.冷却機能

　大規模なオーディオ処理アプリケーションを実行すると、CPU、RAM、SSDに大きな負荷がかかるため、適切な冷却機能がないと内部パーツが容易に過熱する可能性があります。

　過熱はパソコンにさまざまな悪影響を及ぼし、システムの動作が遅くなったり、誤作動を引き起こしたりする可能性があります。音楽編集作業で重大な問題や遅延を避けるためには、温度を効果的に管理できるパソコンを使用する必要があります。

6.サウンドカード

　プロフェッショナルなサウンドカードは、楽曲制作のクオリティを次のレベルに引き上げたい人にとって必須のアイテムです。PCIeサウンドカードは、デスクトップパソコンに最適なソリューションです。

　CPUに直接接続されているため、オーディオファイルをより高速に処理できます。ミニPCやノートPCユーザーの場合は、オンボードDACを使用するか、適切なUSBサウンドカードを導入することができます。Midiplus Aturia MiniFuse2とCreative Sound Blaster X5は、どちらも優れた選択肢です。

7.入出力端子

　プロの音楽制作者の場合、パソコンに多数の周辺機器を同時接続する必要が生じることがあります。USBハブを使用して拡張することも可能ですが、多くの端子を備えたパソコンの方が利便性は高くなります。

8.騒音対策

　複数のファンを搭載したデスクトップパソコンは性能が高く、放熱効率も優れていますが、ファンが発するホワイトノイズによって音楽録音に支障をきたす可能性があります。

　水冷システムはパソコンの騒音を大幅に低減できますが、コストも大きく増加します。予算が限られている場合は、アクティブクーリングを採用したミニPCやノートPCの方が適切な選択となるかもしれません。

9.ソフトウェアの重要性

　WindowsとmacOSは、音楽制作に最適な2大オペレーティングシステムとされています。Android、ChromeOS、および多くのLinuxディストリビューションでもデジタルオーディオワークステーション（DAW）を利用できますが、これらのアプリケーションは通常、WindowsやmacOS向けの専用ソフトウェアほど洗練されておらず、機能も充実していません。

　Macユーザーにとって最適なDAWはLogic Pro Xで、豊富なプラグインと多数のクリエイティブツールが同梱されています。

　Windows PCユーザーの場合、最もお勧めなのはAbleton Live 10 SuiteとImagine Line FL Studioです。Windows環境の多くのDAWは、Intelプロセッサー向けに最適化されていることに留意してください。

音楽制作向けパソコンのおすすめ5選

　Apple Mac Studio（M1 Ultraチップ搭載）は、その圧倒的なシングルコア性能により、最高の選択肢の一つですが、一般消費者にとっては高価すぎる製品です。ここでは、コストパフォーマンスに優れた音楽制作向けパソコンを5機種ご紹介します。

💠Acer Swift 3 Intel Evo Thin｜価格: 約7万円

製品の特徴：

• 14インチフルHD IPSディスプレイ
• インテル Core i5-1240P (12 コア、16 スレッド)
• Iris Xe グラフィックスは EU80 に準拠しています
• 16GB LPDDR4X RAM
• 512GB M.2 PCIe Gen4 SSD
• デュアルサンダーボルト4
• WiFi 6E および Bluetooth 5.2
• デュアルディスプレイ出力

　Acer Swift 3 Intel Evo Thinは、最大4.4GHzの超高速パフォーマンスコア4基を含む12コアを備えたIntel Core i5-1240Pプロセッサーを搭載しています。

　内部には高速LPDDR4X RAMとPCIe Gen4 SSDも搭載されています。このノートパソコンは高性能でありながら携帯性に優れているため、外出先でも音楽制作に取り組むことができます。

　8GBモデルの方が若干安価ですが、将来性を考慮して16GBバージョンの購入をお勧めします。

💠HP Pavilion 15｜価格: 約14万円

製品の特徴：

• 15.6インチ フルHD IPSディスプレイ
• 10点静電容量式タッチスクリーン
• インテル Core i5-1235U (10 コア、12 スレッド)
• Iris Xe グラフィックスは EU80 に準拠しています
• 16GB LPDDR4X RAM
• 512GB M.2 PCIe Gen4 SSD
• WiFi 6 および Bluetooth 5.2
• デュアルディスプレイ出力

　HP Pavilion 15のIntel Core i5-1235Uプロセッサーは、CPUコア数が少ないため、マルチコア性能では1240Pチップには及びません。

　ただし、このSoCには最大4.2GHzまで駆動可能な2つのパフォーマンスコアが統合されているため、複雑な処理も十分にこなすことができます。15.6インチのタッチスクリーンはDAW操作においても非常に便利です。

💠ASUS ZenBook 13｜価格: 約7万円

製品の特徴：

• 13.3インチフルHD OLEDディスプレイ
• インテル Core i7-1165G7 (4 コア、8 スレッド)
• Iris Xe グラフィックスは EU96 準拠
• 16GB LPDDR4X RAM
• 512GB M.2 PCIe Gen3 SSD
• WiFi 6 および Bluetooth 5.2
• デュアルサンダーボルト4
• デュアルディスプレイ出力

　ASUS ZenBook 13には、やや世代の古いIntel Core i7-1165G7プロセッサーが搭載されていますが、本格的な楽曲制作には十分な性能を発揮します。

　ZenBook 13は印象的なOLEDスクリーンと優れた携帯性を備えており、常に移動が多い音楽制作者に最適な選択肢となります。

💠Apple Mac Mini｜価格: 6万円以上

製品の特徴：

• Apple M2 (8コア)
• Apple M2 GPU (10 コア)
• 8GBユニファイドメモリ
• 512GB オンボード SSD
• デュアル Thunderbolt 3/USB4 ポート
• 4つのディスプレイ出力
• WiFi 6E および Bluetooth 5.2

　Apple M2チップ搭載のApple Mac Miniは、ほとんどのIntelおよびAMDプロセッサーよりも低消費電力でありながら、より優れたシングルコア性能を実現します。

　さらに、Logic Pro X DAWの最新バージョンはAppleシリコンに最適化されているため、M2 Apple Mac miniを使用した音楽制作は従来以上に効率的に行えます。

💠GEEKOM NUC AE8｜価格: 約9万円

製品の特徴：

• AMD Ryzen™ 9 8945HS または Ryzen™ 7 8845HS
• AMD Radeon™ Graphics 780M
• デュアルチャネル DDR5 5600MT/s、最大64GB
• M.2 2280 PCIe Gen 4 x 4 SSD、最大2TB
• Wi-Fi 6E および Bluetooth® 5.2

　GEEKOM NUC AE8は、AMD Ryzen™ 9 8945HS または Ryzen™ 7 8845HSプロセッサーを搭載した音楽制作に最適なWindowsミニPCです。強力なマルチコア性能を持つこれらのプロセッサーとAMD Radeon™ Graphics 780Mは、高度なオーディオ処理や複雑なミキシングにも対応できます。

　さらに、デュアルチャネルDDR5 5600MT/s RAM（最大64GB）とM.2 PCIe Gen 4 x 4 SSD（最大2TB）の組み合わせにより、大容量プロジェクトや高解像度の音源を扱う際でもスムーズに動作します。また、Wi-Fi 6EとBluetooth® 5.2による高速かつ安定した接続は、クラウドストレージやワイヤレス機器との連携を容易にします。

　NUC AE8は静音設計を備えており、自宅スタジオでのボーカルや楽器録音時にも静かな環境を保てるため、プロフェッショナルな楽曲制作の場でも信頼できるモデルです。拡張性にも優れ、将来のアップグレードにも柔軟に対応可能な点が魅力です。