
AMDとIntelは、常にCPU技術を進化させ、性能の限界を押し広げてきました。その代表が、Zen 3+アーキテクチャを採用したAMD Ryzen 9 6900HXと、Alder Lake世代のIntel Core i9-12900Hです。どちらも異なる特徴を持ち、使い方によって得意とする分野が変わります。
この記事では、AMD Ryzen 9 6900HXとIntel Core i9-12900Hを比較し、アーキテクチャ、コア数・スレッド数、クロック周波数、消費電力、グラフィックス、対応メモリ、価格などについて詳しく解説します。
プレーするゲームに適したCPU、また動画編集やクリエイティブ作業を行う場合も、用途に合うものを選ぶ際の参考になるでしょう。
アーキテクチャと技術
AMD Ryzen 9 6900HXとIntel Core i9-12900Hは、どちらも最先端の機能と優れた性能、高い効率性を実現している、両社の主力製品です。
AMD Ryzen 9 6900HX:
- Zen 3+アーキテクチャを採用し、6nmプロセスで製造されています。これによりトランジスタ密度が向上し、性能と電力効率が大幅に改善されました。
- 電力効率が非常に高く、高性能でありながら消費電力を抑えられるため、ノートPCなどのモバイル機器に最適です。
- 最適化されたコア設計が、ゲームやコンテンツ制作、マルチタスク処理など、並列処理が求められる作業で高い性能を引き出します。
Intel Core i9-12900H:
- Alder Lakeシリーズでは、10nm Enhanced SuperFinプロセスを採用し、性能重視のコアと効率重視のコアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用しています。
- このハイブリッド構造により、高負荷な処理は性能コアが、軽い処理は効率コアが担当し、性能と消費電力の最適なバランスを実現しています。
- また、IPCの向上によってシングルスレッド性能が改善されており、特に単一コアに依存するアプリケーションでその効果を発揮します。
両プロセッサは、革新的な技術を元にした性能、効率性、拡張性を兼ね備え、現代のコンピュータニーズに応える十分な処理能力を発揮します。
仕様比較
AMD Ryzen 9 6900HXとIntel Core i9-12900Hの主なスペックを詳細に比較しました。
仕様 | AMD Ryzen 9 6900HX | Intel Core i9-12900H |
---|---|---|
コアアーキテクチャ | Zen 3+ | Alder Lake |
製造プロセス | 6nm | 10nm Enhanced SuperFin |
コア/スレッド | 8コア / 16スレッド | 14コア / 20スレッド |
ベースクロック | 3.3 GHz | 2.5 GHz |
ブーストクロック | 4.9 GHz | 5.0 GHz |
TDP | 45W | 45W |
内蔵グラフィックス | AMD Radeon™ Graphics | Intel Iris Xe |
対応メモリ | 最大64GB DDR5 | 最大64GB DDR5 |
接続性 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
コアとスレッド数
AMD Ryzen 9 6900HX: AMD Ryzen 9 6900HX: 8コア16スレッド。高効率で最適化されたマルチスレッド性能を実現し、ゲーミングや軽いコンテンツ制作など、シングルコア性能が求められる作業向きです。
Intel Core i9-12900H: 14コア20スレッド。マルチタスク処理、動画編集、3DCG制作、データ処理など高負荷作業を処理するために設計されています。複数のコアによって並列処理の効率が向上し、並行作業もスムーズに処理できます。
クロック周波数とパフォーマンス
AMD Ryzen 9 6900HX:
- ベースクロック:3.3 GHzのクロックスピードを備えており、日常的な作業やゲームにおいて安定した性能を発揮します。クロックスピードの向上により、さまざまなアプリケーションでスムーズな操作が可能です。
- ブーストクロック: 最大4.9 GHzのブーストクロックスピードを備え、バースト性の高い作業が得意。短時間で急激な性能を求められる作業において、その実力を発揮します。
Intel Core i9-12900H:
- ベースクロック: 2.5 GHzのエントリーレベルのクロックスピード。Ryzen 9 6900HXよりも若干低いものの、ハイブリッドアーキテクチャによって、用途に合わせた性能と省電力性を発揮します。
- ブーストクロック: Ryzen 9 6900HXよりもわずかに優れる最大5.0 GHzのブーストクロックスピードを実現。シングルコア性能を重視するアプリケーションで若干のアドバンテージを生み出します。
電力効率と熱性能
AMD Ryzen 9 6900HX:AMD Ryzen 9 6900HX: 6nmプロセスを採用することで、優れた電力効率と熱性能を実現。ノートPCやミニPCのバッテリー持ちが向上し、冷却負荷も軽減します。
Intel Core i9-12900H:ハイブリッドアーキテクチャを採用し、性能と効率のバランスを最適化。軽作業は効率コア、高負荷作業は性能コアが処理することで、電力消費を最適化します。ただしRyzen 9 6900HXと比較し、高負荷時は消費電力と発熱がやや大きくなる傾向があります。
メモリ対応と互換性
AMD Ryzen 9 6900HX:
- 対応メモリ: 最大64GBのDDR5メモリをサポートし高負荷なアプリケーションにも対応。動画編集、3Dレンダリング、大規模なデータ処理など、大量データのスムーズな処理が必要な作業に適しています。
- 互換性: 将来性のあるDDR5メモリに対応しているため、最新のソフトウェアや負荷の高いアプリケーションにも十分なパフォーマンスを発揮します。
Intel Core i9-12900H:
- 対応メモリ: こちらも最大64GBのDDR5メモリーをサポートし、スピーディーなデータアクセスと大規模データの処理に対応しています。マルチタスクをこなすプロフェッショナルに最適です。
- 最先端のメモリコントローラー搭載: 高速処理が可能な独自のメモリコントローラーを内蔵しており、最新アプリケーションの高負荷処理を行うユーザーに最適です。
関連記事:Intel Core i9とAMD Ryzen 9:ハイエンドCPUを徹底比較
Ryzen 9 6900HX vs i9-12900H: ベンチマークスコア
ベンチマーク | AMD Ryzen 9 6900HX | Intel Core i9-12900H |
---|---|---|
Cinebench R23 (シングルコア) | 1,662 | 1,917 |
Cinebench R23 (マルチコア) | 14,670 | 16,555 |
Geekbench 5 (シングルコア) | 1,644 | 1,754 |
Geekbench 5 (マルチコア) | 10,609 | 12,662 |
PassMark (CPU Mark) | 24,803 | 27,978 |
ゲームパフォーマンス
内蔵グラフィックスを活用したゲーミング性能では、どちらも優れた性能を発揮します。以下は、1080p・中〜低設定時の代表的なゲームのフレームレートの比較です。
ゲーム | AMD Ryzen 9 6900HX (Radeon™ Graphics) | Intel Core i9-12900H (Iris Xe) |
---|---|---|
Fortnite(フォートナイト) | 50 FPS | 45 FPS |
Valorant(ヴァロラント) | 85 FPS | 80 FPS |
League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド) | 105 FPS | 100 FPS |
CS(カウンターストライク) | 75 FPS | 70 FPS |
Minecraft(マインクラフト) | 65 FPS | 60 FPS |
The Witcher 3(ウィッチャー3) | 35 FPS | 30 FPS |
結果を見ると、Ryzen 9 6900HXは軽いゲームにおいて内蔵グラフィックスの性能で若干リードしています。ただし、両プロセッサはそれぞれ特徴があるため、目的に応じて選ぶことが重要です。
ゲームに最適なCPUはどちら?
AMD Ryzen 9 6900HX: Radeon™ グラフィックスを搭載するRyzen 9 6900HXは、内蔵グラフィックス性能において優れた実力を発揮します。Fortnite(フォートナイト)、Valorant(ヴァロラント)、League of Legends(リーグオブレジェンド)などのゲームで高いフレームレートを実現し、特にシステム負荷の少ないゲームや中・低グラフィック設定に最適で、オンラインマルチプレーヤーゲームなどもスムーズに楽しむことができます。
Intel Core i9-12900H:Iris Xe-GPUを搭載するCore i9-12900Hは、軽量なゲームにおいては一定の性能を発揮するものの、フレームレートの面ではRyzenシリーズにやや及ばない結果となっています。モバイル環境でのカジュアルなゲームプレイ用途であれば十分な性能といえます。
多くの人気タイトルを安定したフレームレートでプレーできますが、Ryzen 9 6900HXと同等のスムーズさを維持できるとは限りません。それでも、ゲーム以外の用途と両立させたい場合は、魅力的な選択肢となるでしょう。
結論
シングルコア性能に依存するアプリケーション(マルチスレッド非対応のゲームやソフトウェアなど)を使用する場合は、Intel Core i9-12900Hがおすすめです。Cinebench R23やGeekbench 5のシングルコアテストにて安定的に優れた結果となっており、シングルコアのパフォーマンスが重要な場面で力を発揮します。
Intel Core i9-12900Hは、動画編集、3Dレンダリング、大規模データ処理など、マルチスレッド処理が重要な作業においても優れたパフォーマンスを発揮します。Cinebench R23やGeekbench 5だけでなく、PassMark CPU Markにおいても優れた性能を示し、並列処理ワークロードを余裕を持って処理できる能力が実証されています。このような特性から、Core i9-12900Hは高い処理能力を必要とするプロフェッショナルやクリエイティブ作業において、業界標準として認識されているのです。
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一方AMD Ryzen 9 6900HXも魅力のある選択肢の一つです。シングルコアとマルチコアの両方でバランスの取れた性能を発揮し、多くのアプリケーションにおいて十分な処理能力を発揮します。Intel Core i9-12900Hとのベンチマークスコアにおいては若干劣るものの、それ以外の点は非常に優れています。特にポータブルデバイスでは重要となる省電力性や冷却性能も優秀で、ゲーミングや軽度なクリエイティブ作業で特に高いパフォーマンスを発揮します。
結論として、高度な演算処理を必要とし、コストをあまり気にしない場合はIntel Core i9-12900Hをおすすめします。ベンチマーク結果の通り、シングルコアからマルチコアまで、あらゆるタスクで優れた性能を発揮するからです。対して、予算内でコストパフォーマンスの良いプロセッサーを探している場合は、AMD Ryzen 9 6900HXが魅力的です。ゲームから一般的な作業まで幅広く対応し、様々なユーザーのニーズに応えています。
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