
2026年1月のCESで、Intelが「Panther Lake」という新しいプロセッサーを発表しました。1月27日から搭載PCが出荷されています。
正直、「またコードネームが増えた」と思いました?Lunar LakeだのArrow Lakeだの言ってたのに、もう次ですか。しかもSeries 2から3に飛んでるし。混乱して当然です。
とはいえ、Panther Lakeは単なるマイナーチェンジではありません。Intelの最新製造技術を使った本気のモバイル向けプロセッサーで、AI性能とグラフィック性能が大きく進化する見込みです。本記事では、基本情報から前世代との違い、実際の用途、そして「今買うべきか待つべきか」まで解説します。
Intel 次世代CPU「Panther Lake」の基本情報
まずは基本的な情報から整理していきましょう。Intelの最近の製品ラインナップがごちゃごちゃしてるのは事実なので、ここでスッキリさせておきます。
Intel CPU 最新世代のコードネーム
Intelは開発段階のCPUにコードネームを付ける習慣があります。Panther Lake(パンサーレイク)は、2026年1月27日から出荷が始まったIntel最新世代のモバイル向けプロセッサーのコードネームです。
最近のIntelのコードネームはこんな流れです:
- Lunar Lake(2024年後半、モバイル特化)
- Arrow Lake(2024年後半、デスクトップ・モバイル)
- Panther Lake(2026年初頭、モバイル・組込み向け)
同じ時期に複数の世代が併売されることもあるので、分かりにくいんですよ。
Core Ultra シリーズとしての位置づけ
Panther Lakeは、製品名としては「Core Ultra Series 3」というブランドで展開されます。
Intelは2023年末から、従来の「第14世代Core i7」みたいな番号ベースの命名をやめて、Core Ultraブランドに移行しました。現在の構成:
- Core Ultra Series 2:Lunar Lake / Arrow Lake(2024年)
- Core Ultra Series 3:Panther Lake(2026年)
数字は1つ上がっただけですが、製造プロセスとAI性能が大幅に変わっています。型番は「Core Ultra X9 388H」みたいな形式で、X9/X7/X5が性能グレードを表します。従来のi9/i7/i5に近い考え方ですね。
登場背景
Panther Lakeが注目される理由は2つあります。
1つ目は、Intelが自社の最新製造プロセス「Intel 18A」を初めて採用したクライアント向けSoCだという点です。約2nmプロセスに相当し、前世代より30%高いトランジスタ密度を実現しています。同じ電力でより高い性能が期待できるわけです。

2つ目は、AI PC市場を見据えた設計。MicrosoftのCopilot+機能など、OSレベルでのAI統合が進んでいますよね。それに対応するため、NPU(Neural Processing Unit)の性能を強化しています。従来世代の48 TOPSから50 TOPSへ、数字は微増ですが、効率化によりAIタスクの実行速度向上が見込まれています。
IntelのJim Johnson副社長は「電力効率、CPUパフォーマンス、クラス最高のGPU、より多くのAI演算能力に集中した」と述べています。実用性とバランス重視の進化ということですね。
Panther Lake の技術進化・性能ポイント
ここからは、Panther Lakeの技術的な進化について具体的に見ていきましょう。「結局、何がどれだけ速くなるの?」という疑問に答えていきます。
💠CPUパフォーマンスの向上
Panther Lakeは最大16コア構成を採用しています。内訳は、高性能な「Cougar Cove」P-cores(パフォーマンスコア)が4つ、効率重視の「Darkmont」E-cores(エフィシェンシーコア)が8つ、そして省電力E-coresが4つです。
前世代のLunar LakeやArrow Lakeと比べて、コア数自体は大きく変わっていません。じゃあ何が進化したのかというと、各コアのアーキテクチャが新設計になっている点です。Cougar CoveとDarkmontは、それぞれ前世代のコアから刷新されています。
Intelの発表によれば、同じ電力条件下でシングルスレッド性能が約10%、マルチスレッド性能が約50%向上するとのこと。特にマルチスレッドの50%という数字は結構大きいですよね。ただし、これはIntelが用意したベンチマーク環境での結果なので、実際のアプリケーションでどこまで体感できるかは、搭載製品が出揃ってからの検証待ちです。
実用面で効いてくるのは、動画のエンコード、3Dレンダリング、大量のデータ処理といった、複数のコアをフルに使うタスクです。逆に、普段のネット閲覧やOffice作業では、10-50%の性能差を体感することはほぼないでしょう。
💠AI/機械学習 (NPU) 強化
AI PC市場を狙うPanther Lakeの核心が、このNPU(Neural Processing Unit)です。
第5世代のNPUで、50 TOPS(INT8)の演算性能を実現しています。前世代のLunar LakeのNPUが48 TOPSだったので、数字上は微増に見えますよね。ただ、単純な数値比較だけじゃなくて、アーキテクチャの効率化が進んでいるのがポイントです。
Intelの発表では、LLM(大規模言語モデル)の推論処理でレイテンシが約1.9倍低減し、画像認識などのビジョンタスクではスループットが2~4倍向上するとされています。比較対象がNVIDIAのJetson Orin(組込み向けAIプラットフォーム)なので、PC向けとしては十分な性能と言えそうです。
実際の使い道としては:
- Copilot+のような、OSレベルで動くAI機能
- リアルタイムの文字起こしや翻訳
- 写真・動画の自動編集やノイズ除去
- Web会議での背景ぼかしや照明補正
こういったAI処理を、CPUやGPUに頼らずNPU単体で高速処理できるのがメリットです。バッテリー消費も抑えられるので、モバイルPCとの相性は良さそうですね。
💠GPU・グラフィック性能の進化ポイント
グラフィック性能も大きく強化されています。Panther LakeのGPUはIntel Arc(Xe³世代)で、最大12 Xe-coresを搭載します。Lunar Lakeの8 Xe-coresと比べて50%増です。Intelは「前世代比で最大77%のゲーム性能向上」を謳っています。
テスト結果によれば、Cyberpunk 2077のような負荷の高いタイトルでも、1080p設定なら遊べるレベルの性能が期待できます。おおよそNVIDIAのRTX 4050に近い性能帯と見られており、XeSSのアップスケーリング技術を活用すれば、さらに快適なフレームレートが期待できます。内蔵GPUでこのレベルは、かなり進化したと言えます。
また、IntelのXeSS(アップスケーリング技術)やマルチフレーム生成にも対応しているので、実際のゲームプレイではさらに高いフレームレートが期待できます。
ただし、注意点もあります。Panther Lakeが得意なのは、あくまで「エントリーレベルのゲーミング」です。4K高画質設定で最新AAAタイトルをヌルヌル動かしたいなら、やっぱり専用のディスクリートGPUには敵いません。
ゲーム以外の用途では、動画編集での書き出し速度向上や、3D CADのプレビュー表示の快適化、複数の4Kモニター出力などで恩恵を受けられる見込みです。
前世代(Lunar Lake / Arrow Lake)との比較、その進化は?
Panther Lakeの立ち位置を理解するには、前世代との比較が一番分かりやすいです。2024年に登場したLunar LakeとArrow Lakeと並べて見ていきましょう。
世代別スペック比較
| 項目 | Arrow Lake (Series 2) | Lunar Lake (Series 2) | Panther Lake (Series 3) |
|---|---|---|---|
| 製造プロセス | TSMC 3nm (compute) + 5nm (GPU) | TSMC 3nm (compute) + 6nm (I/O) | Intel 18A (compute)+ TSMC/Intel 3 (GPU他) |
| NPU性能 | ~13 TOPS | ~48 TOPS | ~50 TOPS |
| GPU | Intel Arc (最大8コア) | Arc Xe² (最大8コア) | Arc Xe³ (最大12コア) |
| ターゲット市場 | デスクトップ・ モバイル | モバイル (AI PC) | モバイル・組込み (AI PC) |
| 発売時期 | 2024年10月 | 2024年Q3 | 2026年1月 |
一番大きな変化は、CPUコア演算部分にIntelが自社プロセス「18A」を初採用した点です。前世代はTSMC製でしたが、Panther Lakeは自社製造に戻しました(GPU/IO部分は外部併用)。正直、Intelの自社製造と聞くと不安かもしれません。長年遅れていましたからね。ただ18Aは約2nm相当で、密度が前世代より30%向上。競争力あるレベルに到達したと見られますが、今後次第です。
NPUの性能推移も興味深いです。Arrow Lake(13 TOPS)→ Lunar Lake(48 TOPS)→ Panther Lake(50 TOPS)という流れで、Lunar Lakeで一気に48 TOPSまで引き上げて、Copilot+認定ラインをクリアしました。Panther Lakeは数字は微増ですが、効率化で実効性能の向上が期待されています。
グラフィック性能では、Panther Lakeの進化が際立っています。前世代の8 Xe-coresから12 Xe-coresへ50%増強されており、内蔵GPUでもエントリーレベルのゲーミングやクリエイティブ作業をこなせるレベルを目指している意図が読み取れます。
そして市場ポジショニングも広がりました。Panther Lakeは、Intel Core Ultraとして初めて産業・組込み用途にも正式対応しています。AI性能と電力効率のバランスが、エッジAIやロボティクス市場でも使えるレベルに達したためです。この電力効率の高さとコンパクトな設計への適性は、Mini PCのような省スペースデバイスにも将来的に活かされる可能性があります。
Panther Lakeが活きる用途・シーン
ここからは、Panther Lakeの性能がどんな場面で活きるのか、具体的な用途を見ていきましょう。「結局、自分の使い方に合ってるの?」という疑問に答えていきます。
💠AI PC / NPU 活用
Panther Lakeの最大の売りが、このNPUを活用したAI機能です。MicrosoftのCopilot+など、Windows 11に統合されているAI機能をフルに使えます。リアルタイム文字起こし、画像生成・編集、ドキュメント要約といった処理を、CPUやGPUに負荷をかけずにNPUが実行するので、他の作業をしながらでもAI機能がサクサク動くわけです。
クリエイティブワークでも恩恵があります。写真のノイズ除去や高解像度化、動画の自動カラーグレーディング、被写体の自動選択といった処理が、ローカルで高速に実行できます。クラウドサービスに頼らずに済むのは大きなメリットですね。
💠ゲーム・3Dワークロード
Panther LakeのGPU性能は、軽めのゲームなら快適に動かせるレベルに達しています。おおよそNVIDIAのRTX 4050に近い性能帯と見られており、Valorantのような軽量タイトルから、Cyberpunk 2077のような高負荷ゲームまで、1080p設定なら幅広く対応できる見込みです。XeSSのアップスケーリング技術を使えば、実際の描画解像度を下げてもキレイに表示できるので、フレームレートの向上が期待できます。
ただし注意点として、本格的なゲーミングPCの代わりにはなりません。Panther Lakeが得意なのは「モバイルPCでもゲームが楽しめる」というレベル。QHD/4K高画質や高設定でヌルヌル動かしたいなら、やっぱり専用のディスクリートGPUが必要です。
ゲーム以外の3D用途では、CADソフトのプレビュー表示や3Dモデリングの作業効率向上が期待できます。建築や製品設計で、外出先でもある程度の作業をこなしたい方には便利でしょう。
💠クリエイティブ / ビジネス用途
4K動画の編集も、ある程度こなせる性能です。動画のエンコード・デコードを高速化するハードウェアアクセラレーションに対応しているので、Premiere ProやDaVinci Resolveのタイムライン上のプレビューはスムーズに動く見込みです。ただし、大量のエフェクトをかけた最終書き出しは時間がかかるので、そこは割り切りが必要ですね。
写真編集では、LightroomやCapture Oneでの作業が快適でしょう。RAWファイルの読み込みやプレビュー生成が高速なので、大量の写真を素早くセレクトして編集できます。AI機能を使った自動マスク生成やノイズ除去も、NPUのおかげで待ち時間が少なくなる期待があります。
💠ミニPCでの活用
Panther Lakeは、将来的にMini PC市場でも注目される可能性があります。Intelの発表では、ベース消費電力が約25W、ターボ時でも65-80W程度とされており、Mini PCは筐体がコンパクトなため発熱と騒音が課題になりやすいんですが、Panther Lakeの電力効率の高さはこの点で有利に働く可能性があります。
また、組込み・エッジ用途でも正式認定されているので、仮に搭載製品が登場すれば、家庭内のAIサーバー(ローカルLLMの実行)、セキュリティカメラの映像解析、スマートホームのハブといった使い方が考えられます。
ただ、搭載製品はこれから市場に出始める段階なので、Panther Lake搭載のMini PC製品が登場するかは今後の展開次第です。今すぐミニPCが必要なら、現行のLunar LakeやArrow Lake世代でも十分な性能があります。
Panther Lakeは待つべき?
ここまで読んで、「結局、Panther Lakeを待つべき?」と迷っている方もいるでしょう。Intel 18Aプロセス、50 TOPSのNPU、12 Xe-coresと、確かに魅力的です。
ただ、正直なところ、今すぐPCが必要なら無理に待つ必要はありません。現行のLunar LakeやArrow Lake搭載Core Ultraプロセッサーは、AI PC対応も完了していますし、日常作業から動画編集、軽めのゲームまで快適にこなせます。Panther Lakeとの性能差は確かにありますが、実用面で後悔するほどの差じゃないんですよね。
💠Lunar Lake / Arrow Lake 世代の Core UltraプロセッサーミニPCおすすめ
今すぐ手に入るArrow Lake世代のCore Ultra搭載ミニPCから、こちらのモデルをご紹介します。

GEEKOM IT15(Core Ultra 9 285H)
主要スペック:
- CPU:Intel Core Ultra 9 285H(Arrow Lake H世代)
- GPU:Intel Arc統合グラフィックス
- NPU:約13 TOPS
- メモリ:DDR5、最大64GB
- ストレージ:PCIe Gen4 NVMe対応
記事で触れた日常的なAI機能(文字起こし、画像編集補助)は、実用的に動きます。Arc統合グラフィックスは、軽めのゲームやCADのプレビュー表示にも対応できるレベルです。
複数タブのブラウジング、オフィス作業、写真編集、軽めの動画編集なら快適にこなせます。価格を抑えつつ、しっかりとした性能が欲しい方に向いています。
よくある質問(FAQ)
Q1:Panther LakeとCore Ultraはどういう関係?
Panther Lakeは製品名としては「Core Ultra Series 3」として展開されています。Intelは2023年末から従来の「第○世代Core」という番号をやめて、Core Ultraブランドに移行しました。Panther Lakeはそのシリーズの最新世代という位置づけです。ちなみに型番は「Core Ultra X9 388H」みたいな形式で、X9/X7/X5が性能グレードを表しています。
Q2:Panther LakeでAI作業や動画編集できる?
できます。50 TOPSのNPUを搭載しているので、Copilot+などのAI機能は快適に動く見込みです。文字起こし、画像生成、AIアシスタント機能といった処理を、バッテリーを抑えながら実行できます。動画編集については、4Kのタイムラインプレビューはスムーズに動くでしょうし、軽めのエフェクトなら問題ありません。ただし、大量のエフェクトをかけた最終書き出しは時間がかかるので、そこは割り切りが必要ですね。
Q3:Panther Lakeはいつ買える?
搭載ノートPCは2026年1月27日から出荷が始まっています。これから数ヶ月で、店頭やオンラインショップに製品が増えていく段階です。ただし、Mini PC製品については、まだ具体的な製品発表がありません。モバイルノート中心の展開なので、Mini PCに採用されるかは今後の動向次第です。






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