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ディスプレイポートとHDMIの違いを解説:用途に応じてどちらを選ぶべきか

DisplayPortとは?

DisplayPort(ディスプレイポート)は、PCとモニターをつなぐために生まれた映像インターフェース規格です。VGAやDVIといった古い規格の後継として、PC業界団体のVESAが中心となって策定しました。もともと業務用やハイエンドPC環境を想定しているため、帯域に余裕があり、高解像度・高リフレッシュレートに強いのが大きな特徴です。映像信号はパケット単位で送られ、柔軟に帯域を割り当てられる仕組みになっています。

上記の機能によって、4Kや8Kといった高解像度でも滑らかな表示を実現しやすく、ゲーミングモニターやクリエイター向けモニターとの相性も良好です。

また、DisplayPortにはMST(マルチストリームトランスポート)という機能があり、一つのポートから複数のディスプレイへ信号を分配できます。デイジーチェーン対応モニターを数珠つなぎにすれば、ケーブルを増やしすぎずに多画面環境を構築することも可能です。こうした背景から、グラフィックボード側にはDisplayPort端子が複数搭載されていることが多く、PC寄りの世界では標準的なインターフェースになっています。

HDMIとは?

HDMIは、簡単に説明するとテレビやレコーダー、ゲーム機など家庭用AV機器を前提に作られた映像インターフェースです。一本のケーブルで映像と音声をまとめて送れることをコンセプトに設計され、登場以来あっという間に家庭用の「定番端子」となりました。今日では、テレビの裏側を見れば、ほぼ必ず横長の細い端子が並んでいるはずです。これがHDMIで、Blu-rayプレーヤー、ゲーム機、ストリーミング端末、PCなど、あらゆる機器がこの規格でつながります。

また、HDMIには、ARCやeARCといった音声リターン機能や、CECと呼ばれる機器連動機能も含まれています。テレビのリモコン操作でサウンドバーやレコーダーまで同時に制御できるのは、こうした仕組みのおかげです。家庭用AV機器との互換性を最優先して発展してきた規格なので、リビングでの使い勝手ではHDMIが圧倒的に有利です。

一方で、PC向けの高リフレッシュレートや多画面構成ではDisplayPortに一日の長があるため、用途に応じて使い分けるのが基本になります。

ディスプレイポートとHDMIの違い

ディスプレイポートとHDMIの違い

ここからは、DisplayPortとHDMIの違いを整理していきます。設計思想、スペック、最新技術の三つの観点から見ていくと、両者の立ち位置がわかりやすくなります。

💠基本的な違いと機能比較

まず、「何を想定して作られた規格か」という部分です。ざっくりとした違いは、次のようにまとめられます。

DisplayPortは、PCと高性能モニターを安定してつなぐことが最優先で、高解像度と高リフレッシュレート、多画面対応といったポイントが重視されています。そのため、帯域は広めに確保され、MSTなどの多画面向け機能も盛り込まれています。

一方HDMIは、テレビやレコーダー、ゲーム機といった家電同士をシンプルにつなぐことを目的に設計されています。映像と音声を一本でまとめるだけでなく、ARCやCECなど、ホームシアターやリビング環境に便利な機能が多数組み込まれています。

どちらも「映像と音声を送る」という意味では同じですが、PC中心か家電中心かという前提の違いから、周辺機能や得意分野が分かれていると考えると理解しやすいです。

💠解像度とリフレッシュレートの比較

次に、よく話題になる解像度とリフレッシュレートを比べてみましょう。代表的なバージョンごとの対応範囲を、表にまとめると以下のイメージです。

数字だけ見れば、最新世代同士ではDisplayPortのほうが帯域に余裕があり、将来の高解像度化にも備えやすいと言えます。ただし、実際にどこまで出せるかは、PC側・モニター側・ケーブルの三つが揃って初めて意味を持つ点には注意が必要です。

関連記事:HDMI 1.4 vs 2.0 vs 2.1:どれを選ぶべき?

💠HDMI 2.1 vs DisplayPort 2.0

最後に、最新世代の規格同士の「尖った部分」を簡単に比較しておきます。代表的なポイントだけを表にすると、次のようになります。

HDMI 2.1 vs DisplayPort 2.0

4K / 8K対応
規格
帯域
主な特徴
HDMI 2.1
最大48Gbps
4K@120Hz/8K@60Hz対応。VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低遅延モード)、eARC(高音質オーディオリターン)など、ゲームやホームシアター向けの機能が充実。
DisplayPort 2.0 / 2.1
最大80Gbpsクラス
8K以上や複数枚の高解像度モニターを想定。PC向けに超高解像度・多画面環境を重視した設計。

HDMI2.1では、帯域が48Gbpsまで拡張され、4K120Hzや8K60Hzに対応しました。ゲーム向けの機能が大きく強化されているのも特徴で、VRR(可変リフレッシュレート)やALLM(自動低遅延モード)などが標準で含まれています。音声面でもeARCに対応し、テレビを経由しても高品位なサラウンド音声をサウンドバーやAVアンプにそのまま届けられるようになりました。

一方、DisplayPort2.0/2.1は、最大80Gbpsクラスの帯域を備え、8Kやそれ以上の高解像度でも余裕を持って扱える規格です。複数枚の8Kモニターを一台のPCから駆動したり、VRやARのような高解像度・高フレームレートを要求する用途にも対応しやすくなっています。

最新技術の方向性としては、

と押さえておくと、役割の違いが見えやすくなります。

DisplayPortとHDMI :どっちがいい?

ここからは、「結局どっちを選べばいいのか」という視点で、用途別に適した規格を見ていきます。
同じモニターでも、動画編集用か、ゲーム用か、テレビ視聴用かでベストな接続方法は変わってきます。

①プロフェッショナル用途:動画編集など

動画編集や写真編集、3DCG制作といったプロフェッショナル用途では、解像度と色の正確さが重要です。4Kや5Kのモニターで細部まで表示したい場合、DisplayPort接続で帯域に余裕を持たせるのが基本です。10bitカラーやHDR表示を活用する場合も、DP1.4以降であれば安定して扱いやすくなります。

一方で、映像素材のチェック用としてテレビに出力したい場面もあるでしょう。その場合は、編集用モニターはDisplayPort、チェック用のテレビはHDMIといった使い分けが現実的です。プロ用途では、「制作向けのDisplayPort」と「確認用のHDMI」を併用していくイメージになります。

②初心者/一般用途

ウェブ閲覧やOfficeソフト、動画視聴といった一般的なPC用途であれば、厳密にどちらかを選ぶ必要はありません。モニターとPCの両方にHDMI端子があるなら、そのままHDMIでつなぐのがもっとも手軽です。

DisplayPort端子が余っている場合は、デュアルモニター環境を組むときに片方をDP、片方をHDMIにする、といった使い方もできます。「とりあえず一台のモニターで作業する」程度なら、どちらでも体感はほとんど変わらないはずです。今後、144Hzモニターや4Kモニターへの買い替えを考えているなら、DisplayPort対応のモニターとケーブルを用意しておくと、選択肢が広がります。

③テレビ視聴用途

リビングのテレビで番組や映画、動画配信サービスを楽しむ用途では、迷わずHDMIを選べば問題ありません。テレビ、レコーダー、ゲーム機、ストリーミング端末、サウンドバーなど、家庭にある映像機器は例外なくHDMIでつながります。PCをテレビに接続して大画面で動画を観る場合も、PC側のHDMI端子からテレビのHDMI入力にケーブル一本でつなぐのが基本です。

DisplayPortしかないPCでも、DP→HDMI変換アダプタを使えばテレビに出力できますが、変換というひと手間が増えます。テレビ視聴がメインであれば、「テレビ回りはHDMIで統一」と覚えておけば困ることはほとんどありません。

おすすめ記事:テレビ用ミニPC:自宅で楽しむ究極の4Kメディアセンター

④ゲーマー

PCゲームを高フレームレートで楽しみたいゲーマーにとっては、DisplayPortが心強い味方になります。144Hzや240Hz対応のゲーミングモニターは、多くがDisplayPort接続を想定しており、G-SYNCやFreeSyncなどの可変リフレッシュレート機能もDP経由で利用しやすくなっています。

フルHDやWQHDで最大限フレームレートを稼ぎたい場合は、まずDisplayPortでつなぐことを検討しましょう。一方、家庭用ゲーム機で遊ぶ場合は、HDMIが前提です。最新ゲーム機とHDMI2.1対応テレビがあれば、4K120HzやVRRにも対応できます。

PCゲーム中心ならDisplayPort、コンソール中心ならHDMI、とざっくり分けて考えると整理しやすいです。

DisplayPortとHDMI向けパソコンおすすめ

最後に、DisplayPortとHDMIを活かしやすいミニPCの例として、GEEKOMのAir 12A8を紹介します。

  • GEEKOM Air12は、省電力なIntel NシリーズCPUを搭載したコンパクトなミニPCです。
  • HDMI2.0に加え、DisplayPort1.4相当のMini DisplayPortを備えているため、4Kモニターを活かしたい一般ユーザーやライトなクリエイターに向いています。普段はフルHDモニターをHDMIでつなぎ、将来的に4Kモニターへ買い替えたときはDPで接続する、といった段階的なアップグレードもしやすい構成です。
  • 低消費電力設計のため、24時間稼働が必要な家庭用サーバーやホームオフィスでの常時利用にも最適です。
  • GEEKOM A8は、AMD Ryzen HSシリーズCPUと高性能な内蔵GPUを搭載した、よりパワフルなミニPCです。
  • 4K60Hz対応のHDMI2.0を二基備え、さらにUSB4ポートからDisplayPort信号を出力できるため、最大四画面の同時出力にも対応できます。4Kモニターを複数並べて動画編集をしたいユーザーや、チャートやダッシュボードを多画面に表示したいビジネスユーザーに向いています。
  • HDMIを中心にしつつ、必要に応じてUSB4→DisplayPort変換で高性能モニターを追加できる柔軟性が魅力です。

DisplayPortとHDMIの変換:必要性と選び方

DisplayPortとHDMIは物理的にも信号形式的にも別の規格なので、そのままでは互換性がありません。ここでは、変換が必要になる典型的な場面と、変換ケーブル・アダプタを選ぶ際の基本だけ、簡潔に押さえておきます。

DisplayPortとHDMI変換が必要な時とは

DP→HDMI変換

もっともよくあるのは、PC側がDisplayPort出力しか持たず、モニターやテレビ側がHDMI入力しかないケースです。たとえば、デスクトップPCのグラフィックボードにはDP端子が複数、モニター側にはHDMIしかない場合などが該当します。このときは、DP→HDMI変換アダプタや変換ケーブルを使うことで接続できます。逆に、ゲーム機やノートPCがHDMI出力だけを持ち、接続したいモニターがDisplayPort入力しかない場合もあります。

この方向では、HDMI→DP変換コンバータが必要になりますが、製品数は少なく価格も高めです。
大枠として、「PC→テレビ・一般モニター」はDP→HDMI変換、「ゲーム機→PC用モニター」はHDMI→DP変換が必要になる、と覚えておくとイメージしやすいです。

変換ケーブルの選び方

変換ケーブルや変換アダプタを選ぶときは、まず「どちら向きの変換なのか」を確認しましょう。

同じ見た目でも、DP→HDMI専用のものと、HDMI→DPに対応するコンバータでは役割がまったく違います。そのうえで、対応する最大解像度とリフレッシュレートをチェックします。フルHD60Hz程度であれば、ほとんどの製品で問題ありませんが、4K60Hzやそれ以上を狙う場合は、その条件に対応しているかどうかが重要です。また、音声やHDRに対応しているかも確認しておくと安心です。基本的には、変換を使うよりも同じ規格同士で直接つないだほうがトラブルは少なくなります。

将来的に高解像度や高リフレッシュレートを狙うのであれば、なるべく変換に頼らない構成を意識して機器を選ぶと良いでしょう。

まとめ

DisplayPortとHDMIは、どちらも映像と音声を送るための重要なインターフェースですが、成り立ちや得意分野にははっきりと違いがあります。

PCと高性能モニターをつなぎ、高解像度や高リフレッシュレート、多画面構成を活かしたいのであれば、DisplayPortを優先するのが基本です。リビングのテレビや家庭用ゲーム機、サウンドバーなど、家電同士をシンプルにつなぎたい場面では、HDMIが事実上の標準と言えます。

GEEKOM Air 12やA8のように、両方の規格をうまく取り入れたミニPCを選べば、どちらの世界にも無理なくアクセス可能となります。用途に合わせて端子を使い分けることで、コンパクトなPCでも快適な映像環境を構築することができるので、ディスプレイポートとHDMIの違いと基本を理解しておけば、モニター選びや配線計画で悩む時間をぐっと減らせるはずです。

よくある質問(FAQ)

Q: DisplayPortとHDMIはそのまま互換性がありますか?

端子形状も信号形式も違うため、そのままケーブルを差し替えるだけでは互換性はありません。変換アダプタや変換ケーブルを使えば接続できますが、DP→HDMI専用か、HDMI→DPにも対応しているのかなど、方向を確認して選ぶ必要があります。

Q: 変換アダプタを使うと画質や音質は落ちますか?

デジタル信号のまま変換されるため、画質や音質そのものが劣化することは基本的にありません。

Q: なぜHDMI→DisplayPortの変換ケーブルは少ないのですか?

HDMI出力をDisplayPort入力に変換するには、信号の形式そのものを変えるコンバータ回路が必要になります。単なる配線の入れ替えでは実現できないため、製品数が少なく、価格もDP→HDMIに比べて高くなりがちです。

Q: DisplayPortのほうがHDMIより優れていると言えますか?

一概に優劣をつけることはできず、用途によって評価が変わります。
PC向けの高解像度や高リフレッシュレート、多画面構成に関しては、DisplayPortのほうが有利な場面が多いです。

Q: PCにDisplayPortとHDMIが両方ある場合、どちらでつなぐべきですか?

接続先と目的によって使い分けるのがベストです。PCモニターで高リフレッシュレートやAdaptive-Syncを使いたいならDisplayPortを優先しましょう。

Q: 今後主流になるのはHDMIとDisplayPortどちらでしょうか?

家庭用AV機器の世界では、今後もHDMIが主流である状況はしばらく変わらないと考えられます。

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Yoshimasa Inoshita

Yoshimasa Inoshitaさんは金融・テクノロジー分野を中心に活動するライターです。3年以上にわたるコンテンツライティングの経験を持っています。本質的にユーザーに役立つ情報を提供することを信条とし、価値あるコンテンツ制作を追求しています。

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