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Intel Core Ultra 9 vs Core i9:2025年に最適なIntel CPUはどっち?

はじめに

Intel Core Ultra 9とCore i9シリーズは、Intelプロセッサーラインナップにおけるハイエンドコンピューティング分野で、それぞれ異なるアプローチを採用した製品群です。Core Ultra 9シリーズは、Meteor Lakeファミリーに属するモバイルプラットフォーム向けプロセッサーとして設計され、ノートPCやポータブルワークステーションに適した性能と効率のバランスを実現しています。特にIntel Core Ultra 9 185Hは、ハイブリッドアーキテクチャをはじめとする先進的な設計を採用し、統合AI加速機能やグラフィックス性能の向上により、その多様性をさらに押し上げています。

これに対し、Intel Core i9シリーズは、デスクトップ向けプロセッサーとして極めて高い性能を誇る製品群であり、負荷の高い処理に対しても圧倒的なパフォーマンスを発揮します。i9-14900KはRaptor Lake Refresh世代のフラッグシップモデルとして登場し、ゲーム、コンテンツ制作、専門業務など、最高水準の性能を求めるユーザー向けに開発されています。豊富なコア数、高クロック周波数、優れた熱制御機能を備え、比類のない演算能力を提供します。

本記事では、Intel Core Ultra 9シリーズとCore i9シリーズを代表するUltra 9 185Hとi9-14900Kを取り上げ、両者の主要な相違点について詳細に比較分析いたします。性能・効率・電力消費、コア仕様、アーキテクチャの改良点、ゲーミング性能などの観点から評価し、それぞれのプロセッサーがどのようなユーザー層に適しているかを明確にしてまいります。

Intel Ultra 9 vs Core i9:主な違い

Intel Core Ultra 9シリーズとIntel Core i9シリーズは、それぞれ異なるターゲット層を想定しており、仕様面でも明確な違いが見られます。Meteor LakeアーキテクチャのUltra 9 185Hと、Raptor Lake Refreshのi9-14900Kは、各シリーズにおける技術的進化と特化ポイントを象徴する存在です。ここでは主にアーキテクチャ、仕様、技術面の違いを中心に比較してまいります。

Ultra 9 185H vs Core i9-14900K:スペック比較

特徴Intel Core Ultra 9 185HIntel Core i9-14900K
総コア数16(高性能Pコア6 + 高効率Eコア8 + 低電力Eコア2)24(Pコア8 + Eコア16)
スレッド数2232
ベースクロック(Pコア)2.3 GHz3.2 GHz
最大ターボ周波数5.1 GHz6.0 GHz
キャッシュ24MB Intel Smart Cache36MB Intel Smart Cache
ベース消費電力45W125W
最大ターボ電力115W253W
メモリサポートLPDDR5/x 7467 MT/s、DDR5 5600 MT/sDDR5-5600、DDR4-3200
最大メモリ容量96GB128GB
メモリチャネル22
統合GPUIntel Arc Graphics(8 Xeコア)なし(外部GPUが必要)
GPU最大周波数2.35 GHz該当なし
フォームファクターモバイル(FCBGA2049)デスクトップ(LGA1700)
製造プロセスIntel 4Intel 7
AI加速あり(Intel AI Boost)なし
発売日2023年第4四半期2023年第4四半期

シングルコア性能

多くのアプリケーションで重要なシングルコア性能においては、i9-14900Kがベースクロック、最大ターボクロックの両面で大幅に上回っています。最大6.0 GHzのクロック速度により、特にシングルスレッド性能が重要となるゲーミング用途などで、その真価を発揮します。

一方、Intel Core Ultra 9 185Hは、最大5.1 GHzのターボ周波数を持ちながらも、i9-14900Kには及びません。しかし、モバイル用途におけるシングルスレッド性能としては十分な水準にあり、効率と性能のバランスを重視した設計が際立っています。

マルチコア性能

マルチコア性能では、24コア・32スレッドを誇るi9-14900Kが本領を発揮します。動画編集や3Dレンダリングなどのマルチスレッド処理を要求するプロフェッショナルな作業において、より高速な処理が可能となります。加えて、36MBの大容量キャッシュもパフォーマンス向上に寄与しています。

一方、Ultra 9 185Hも16コア・22スレッドの構成により、モバイルプロセッサーとしては優秀なマルチタスク性能を発揮します。高性能コア、効率コア、低電力コアの組み合わせによるハイブリッドアーキテクチャにより、多様な負荷に柔軟に対応できます。ただし、電力や熱設計の制約が少ないデスクトップ向けのi9-14900Kには及ばないのが現状です。

実際のアプリケーションでの使用感

実際の使用シーンでは、i9-14900Kは計算処理能力が極めて高く、例えばAdobe Premiere Proによる動画編集やBlenderでの3Dレンダリングなどにおいて、レンダリング速度や処理の滑らかさに大きな違いが現れます。

一方、Ultra 9 185Hは、モバイル環境での使用に最適化されており、消費電力と性能のバランスが要求される状況で力を発揮します。写真編集やOffice作業、軽度から中程度の動画編集などでは十分なパフォーマンスを提供し、外出先で作業を行うプロフェッショナルにとって非常に有効な選択肢となります。

ベンチマーク結果(Cinebench/PassMark)

CinebenchやPassMarkなどの合成ベンチマークでは、i9-14900Kが常に上位に位置しています。これにより、i9-14900Kがデスクトップ向けシングルコア・マルチコア性能において圧倒的な存在であることが実証されています。

Ultra 9 185Hもベンチマークでは堅実な成績を収めており、特にマルチコアテストではその効率的なアーキテクチャが力を発揮しています。ただし、i9-14900Kのようなコア数とクロック周波数の組み合わせには敵いません。

総合的に見ると、Intel Core i9-14900Kは、シングルコア・マルチコアの両方で卓越した性能を誇り、パワーユーザー向けのデスクトップCPUとして理想的な選択肢です。一方、Intel Core Ultra 9 185Hは、i9-14900Kほどの性能は持ち合わせていないものの、モバイル向けとしては非常に優秀なCPUであり、効率的なマルチコア処理能力と電力消費の最適化を実現しています。

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Ultra 9 vs Core i9:電力効率と消費電力の比較

仕様比較

特徴Intel Core Ultra 9 185HIntel Core i9-14900K
プロセッサーベース電力45W125W
最大ターボ電力115W253W
最小保証電力35W該当なし
プロセスルールIntel 4Intel 7
TDP(熱設計電力)45W125W
最大動作温度110°C100°C

消費電力

Intel Core Ultra 9 185Hは、モバイル向けに最適化されたプロセッサーであり、ベース電力45W、最大ターボ電力115Wという極めて効率的な電力設計を実現しています。これは、ノートパソコンやモバイルワークステーションのように、バッテリー寿命や熱管理が重要視される環境に非常に適しています。効率コアの搭載や高度な電力管理機能により、システム全体の性能を維持しつつバッテリーへの負担を抑制し、過度な発熱を回避する設計となっています。

一方、Intel Core i9-14900Kは、ベース125W、最大253Wの電力を消費するデスクトップ向け高性能プロセッサーです。この高い消費電力は、卓越したパフォーマンスの裏付けでもありますが、それに伴う発熱を適切に管理するため、強力な冷却ソリューションが必要となります。電力効率よりも性能を重視するユーザーにとって、この消費電力は妥当な範囲といえるでしょう。

ワットパフォーマンス(Performance per Watt)

「ワットパフォーマンス」とは、消費電力に対してどれだけの処理能力を発揮できるかを示す重要な指標です。Intel Core Ultra 9 185Hは、この面において非常に優れており、ハイブリッドアーキテクチャによってパフォーマンスと効率の両立を実現しています。モバイル環境においては、パフォーマンスの最大化よりも、効率的な処理とバッテリー駆動時間の確保が重視されるため、Ultra 9 185Hのような設計が理想的です。

これに対し、Intel Core i9-14900Kは、この指標ではUltra 9に劣るものの、純粋な演算性能では他を圧倒します。十分な電源と冷却環境が整っていれば、i9-14900Kはその高い消費電力に見合った驚異的なパフォーマンスを発揮し、要求の厳しいアプリケーションでも快適に動作します。

熱管理(サーマルマネジメント)

熱管理は、プロセッサーの性能と寿命を左右する重要な要素です。Intel Core Ultra 9 185Hは、モバイル向けに設計されており、高度な熱制御機能により、発熱を抑制しながら安定動作を実現しています。省電力設計と効率コアの組み合わせにより、発熱を最小限に抑え、静音性と冷却性能の両立を可能にしています。

一方、Intel Core i9-14900Kは非常に高性能な24コアプロセッサーであり、その発熱も相応に大きいため、高性能な空冷または水冷クーラーの使用が推奨されます。特にオーバークロックを行う場合には、冷却システムの品質が安定性と性能維持の鍵を握ります。

まとめ

Intel Core Ultra 9 185Hは、消費電力と熱制御に優れた設計で、バッテリー駆動のモバイルデバイスに理想的なプロセッサーです。電力効率の高さと、スマートなサーマル設計により、モバイル環境でもパフォーマンスを犠牲にすることなく活用できます。

一方、Intel Core i9-14900Kは、電力消費が多いものの、デスクトップ向けとして圧倒的な処理性能を発揮します。電力効率よりもパフォーマンスを最優先にするユーザーにとっては、冷却環境さえ整っていれば、最高の選択肢となるでしょう。高度な冷却システムにより、i9-14900Kのポテンシャルは最大限に引き出されます。

さらに詳しく知りたい方へ:
Intel Core i9とAMD Ryzen 9:ハイエンドCPUを徹底比較

Ultra 9 vs Core i9:ゲームに向いているのはどっち?

ゲーム性能比較(RTX 4090搭載時)

ゲームタイトル解像度Core Ultra 9 185HCore i9-14900K
Cyberpunk 20771080p110 FPS135 FPS
1440p85 FPS115 FPS
4K55 FPS75 FPS
CoD: Warzone1080p150 FPS175 FPS
1440p120 FPS150 FPS
4K80 FPS110 FPS
Fortnite1080p200 FPS230 FPS
1440p160 FPS190 FPS
4K100 FPS130 FPS
AC: Valhalla1080p90 FPS110 FPS
1440p70 FPS90 FPS
4K45 FPS60 FPS
RDR21080p85 FPS105 FPS
1440p65 FPS85 FPS
4K40 FPS55 FPS

各ゲームでの性能評価

Cyberpunk 2077

グラフィックス性能とシングルコア性能の両方が要求されるこの重量級ゲームでは、シングルスレッド性能が高く、コア数も豊富なIntel Core i9-14900Kが圧倒的な強さを見せています。1080pではi9が135FPS、Ultra 9 185Hは110FPSと、25FPSの差が生じています。解像度が上がるにつれてこの差はさらに拡大し、i9の「純粋なパワー」が際立ちます。

Call of Duty: Warzone

特に1080pではi9-14900Kが175FPSを記録し、Ultra 9 185Hの150FPSを上回っています。解像度が上がると差は多少縮まりますが、それでもi9が常にリードを保っています。高クロック性能とマルチコア処理能力の差が影響を与えています。

Fortnite

CPU負荷の比較的軽いFortniteでは、どちらのプロセッサーでも快適に動作しますが、やはりi9-14900Kの方が優位です。1080pでは230FPS、Ultra 9 185Hは200FPSとなっています。1440p・4Kでも同様に、i9の方がフレームレートが高く、eスポーツや競技志向のゲーマーには理想的な選択肢です。

Assassin’s Creed Valhalla

中程度のCPU負荷があるこのタイトルでも、i9-14900Kが優れた結果を示しています。1080pで110FPS、Ultra 9 185Hは90FPSとなっています。解像度が上がると差も広がり、i9は高解像度でも滑らかな描画を維持しています。

Red Dead Redemption 2

GPU依存度が高く、計算負荷も重い本作では、i9-14900Kの強力な性能が活かされています。1080pではi9が105FPS、Ultra 9は85FPSとなっています。1440p、4Kでもこの傾向は変わらず、高負荷ゲームを快適に楽しみたい場合はi9が有利です。

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まとめ

全体的に見て、Intel Core i9-14900Kはゲーミング用途において明確に優位性を示しています。特にCPU性能が重要となる1080p環境では、シングルコアとマルチコアの両面で優れた性能を発揮し、フレームレートとゲーム体験の滑らかさにおいてトップクラスの結果を出しています。

一方、Intel Core Ultra 9 185Hも、モバイルプロセッサーとしては非常に優れたゲーミング性能を持っています。しかし、その性能はi9-14900Kの「本格的なゲーミング性能」には及びません。ただし、携帯性と省電力性を重視するユーザーにとっては、Ultra 9 185Hは十分に魅力的な選択肢といえるでしょう。高性能を多少犠牲にしても、快適なゲーム体験をモバイル環境で得たい方にはおすすめです。

Intel Core Ultra 9 vs Core i9:あなたに最適なのはどちら?

Intel Core Ultra 9とCore i9シリーズのどちらを選択すべきかは、使用目的や求めるパフォーマンスによって異なります。両シリーズには、それぞれ異なるユーザー層や用途に最適化された特徴があります。

Intel Core Ultra 9 シリーズを選ぶべき方

Intel Core Ultra 9シリーズ(代表例:Ultra 9 185H)は、モバイル環境向けに設計されており、コンパクトな筐体での携帯性と電力効率、最新機能を重視する方に最適です。以下のような用途で特に真価を発揮します:

  • モバイルワークステーション 動画編集、グラフィックデザイン、プログラミングなど、外出先でも高いパフォーマンスを求めるプロフェッショナルユーザーに最適です。
  • バッテリー重視の作業 性能を犠牲にすることなく、長時間駆動を可能にする省電力設計が魅力です。
  • 統合グラフィックスの活用 Intel Arc グラフィックス搭載により、軽度から中程度のゲーミングやマルチメディア処理にも対応可能です。
  • AI・機械学習用途 内蔵AI加速機能により、AI処理や機械学習を活用するアプリケーションでも高いパフォーマンスを発揮します。
Ultra9搭載ミニPC
  • Intel® Arc™ XE-LPG+A140T(U9対応)
  • インテル最新第15世代 Ultra9-285H CPUを搭載
  • 高い拡張性:メモリ最大64GB、ストレージ最大6TBまで対応
  • デュアルチャンネル DDR5-5600 SODIMM(最大64GB)
  • M.2 2280 PCIe 4.0 ×4 SSD(最大2TB対応)
  • デュアル2.5G LAN、Bluetooth® 5.4 / Wi-Fi 7
  • 革新的な冷却機構「IceBlast 2.0」搭載

Intel Core i9 シリーズを選ぶべき方

Intel Core i9シリーズ(例:i9-14900K)は、デスクトップ用途における最高レベルの処理能力を求めるユーザー向けに設計されています。以下のような用途に最適です:

  • ハイエンドゲーミング 高フレームレートや滑らかな描画を重視するゲーマーにとって、シングルコア/マルチコア性能の高さは絶大なアドバンテージとなります。
  • コンテンツ制作 動画編集・3Dレンダリングなどの高負荷な作業も、高クロック&多コア設計で処理時間を短縮し、生産性を向上させます。
  • オーバークロックや自作PC 高性能を追求するPCビルダーに最適で、カスタム水冷などの拡張性も抜群です。
  • プロフェッショナルな業務用途 データ解析、シミュレーション、科学技術計算など、CPU集約型の業務処理にも強力に対応できます。
Core i9搭載ミニPC
  • 第12世代 Intel® Core™ i9-12900HK
  • Intel® Iris® Xe グラフィックス搭載
  • USB 4ポート ×2 を含む充実のポート構成
  • 最大8K出力・4画面対応
  • 2.5Gイーサネット / Bluetooth® 5.2 / Wi-Fi 6E
  • Windows 11 Proプリインストール
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