ベアボーンミニPCは、コンピューターの主要パーツを小型筐体に収め、残りの部分を自由にカスタマイズできることから、近年人気が高まっています。ベアボーンキットを完全な状態のミニPCにするには、PCの組み立てに関する専門的な知識は必要ありませんが、一般ユーザーにとってはやや難しく感じることもあります。以下では、ベアボーンミニPC購入前に知っておくべきポイントをご紹介します。
ベアボーンキットとは
ミニPCには、ベアボーンタイプと完成品の2種類があります。ベアボーンキットとは、PCシステムの「基本パーツ」(通常は筐体、電源アダプター、マザーボード、プロセッサー)のみが組み込まれた、半完成状態のミニデスクトップPCです。メモリとストレージは別途購入し、OSは自分でインストールする必要があります。
ベアボーンキットのメリット
既製品のミニPCと比べて、ベアボーンキットには以下のようなメリットがあります:
1) コストの削減
多くの場合、完成品のミニPCを購入するより、ベアボーンキットと必要なパーツを個別に購入した方が安く済みます。すでにメモリやSSDをお持ちの場合は、必要な分だけ購入できるベアボーンキットが賢明な選択となります。
2) メモリとストレージの自由な選択
完成品のミニPCでは、メモリとストレージの選択肢が限られていることが多いですが、ベアボーンキットなら自由に構成できます。例えば、インテルNUC 12 Pro完成品は512GBと1TBの2種類のストレージ構成しかありませんが、ベアボーンキットなら128GBから4TBまでのM.2 2280 SSDを選択できます。
3) 好みのOSをインストール可能
ほとんどの完成品ミニPCにはWindowsがプリインストールされており、Windowsを使用しない場合でもOEMライセンス料が価格に含まれています。ベアボーンキットなら、必要なOSを自由にインストールできます。実際、Ubuntu、Debian、Mint、Chrome OS、Android x86など、無料でダウンロード・インストールできるオープンソースOSも多数あり、中にはWindows 11と同等の機能を持つものもあります。
ベアボーンミニPCの注意点
ベアボーンキットを完全な状態のミニPCにする作業は楽しいものですが、以下のような注意点もあります:
高額なWindowsライセンス料
ベアボーンミニPCにWindowsをインストールする場合、ライセンスキーが必要となり、これはかなりの出費になる可能性があります。Microsoftの公式サイトでは、Windows 11 Homeが139ドル、Proバージョンはさらに60ドル高くなっています。完成品のミニPCを購入する場合、15ドル程度のOEMライセンス料は本体価格に含まれているため、意識することはありません。例えば、GEEKOM MiniAir 11は229ドルという手頃な価格で、N5095プロセッサー、8GBメモリ、256GB SSD、Windows 11 Proライセンスを含む完成品が手に入ります。
互換性の問題
ベアボーンミニPCと各種パーツをオンラインで注文したものの、届いてから互換性がないと分かるのは最悪の事態です。ベアボーンミニPCのCPUとマザーボードには、特定のハードウェアにしか対応しない仕様があることが多いのです。例えば、AMD Ryzen 6000シリーズプロセッサーはDDR5メモリのみに対応しており、古いノートPCやミニPCのDDR4メモリは最新のAMD Ryzen搭載ベアボーンキットでは使用できません。対応していないメモリやSSDを使用すると、システム障害を引き起こしたり、最悪の場合はマザーボードを損傷させる可能性があります。自信がない場合や、詳しい人のサポートが得られない場合は、完成品を選んだ方が問題を回避できます。
限定的なメーカーサポート
通常、メーカーはベアボーンキットに対して限定的なサポートしか提供しません。ハードウェアとソフトウェアの互換性の問題によるトラブルは、保証の対象外となることが一般的です。一方、完成品のミニPCなら、システムのハードウェアとソフトウェアの両方についてアフターサービスを受けることができます。
ベアボーンミニPCの選び方
ベアボーンキットの選択は悩ましい作業かもしれません。多くの人が、自分のニーズに合った製品を選ぶのに苦労しています。以下の3つの重要なポイントを考慮することをお勧めします:
1. SoC(システムオンチップ)
プロセッサーはミニPCの性能を決定する重要な要素ですが、通常マザーボードにはんだ付けされており、アップグレードはできません。そのため、適切なSoCを搭載したベアボーンキットを選ぶことが重要です。グラフィックス性能重視のゲームをプレイしたい場合は、AMDの最新RDNA2 iGPUがIntelより大幅に高性能なため、同価格帯のIntel製品よりもハイエンドAMD Ryzenプロセッサー搭載モデルの方が合理的です。一方、主に動画コンテンツ制作を行う場合は、Intelチップの方がコーデックサポートに優れているため、プレミアムIntel Core搭載ベアボーンキットがより良い選択となるでしょう。Webブラウジング、オフィス作業、メディア再生など基本的な作業が中心の場合は、Celeron搭載の安価なベアボーンキットで十分です。
2.インターフェース
搭載できるメモリとストレージの容量を決めるため、ベアボーンキットのマザーボードで利用可能なコネクターを確認することも重要です。3D性能を重視する場合は、メモリスロットが2基あるモデルをお勧めします。これは、iGPUがデュアルチャネルメモリと組み合わさることで大幅な性能向上が見込めるためです。また、ホームファイルサーバーとして使用する場合は、複数のストレージコネクターを備えたモデルを選ぶのが賢明です。
3.外部ポート
ミニPCには通常、周辺機器接続用の各種ポートが装備されています。これらのポートは、データの送受信、映像・音声出力、インターネット接続、マウス、キーボード、プリンターなどの接続に使用されます。例えば、複数のディスプレイに接続する予定がある場合は、適切な映像出力端子を備えたモデルを選ぶ必要があります。また、ホームネットワークの帯域が1Gbpsを超える場合は、2.5Gbpsや10ギガビットイーサネット端子を搭載したベアボーンキットをお勧めします。
まとめ
ベアボーンキットは、自作PCの世界に入る最も手軽な方法であり、初心者にとって良い学習機会となります。ただし、それなりのリスクも伴います。チャレンジ精神に自信がない場合は、完成品のミニPCを選ぶことをお勧めします。
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