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HDMI 2.0と2.1:どちらを選ぶべき?

 オーディオビジュアル機器をディスプレイに接続する際の標準となっているHDMI(高精細度マルチメディアインターフェース)。

 HDMI 2.1の導入により、それ以前のHDMI 2.0とどう違うのか疑問に思っている人も多いのではないだろうか。

 この記事では、HDMI 2.0と2.1の違いと、それぞれがオーディオビジュアル機器を使用する際にどう影響するかについて解説する。

HDMI 2.0とは

 2013年に発売されて以来、HDMI 2.0は多くのホームエンターテインメントシステムの標準となっている。ユーザーの視聴体験を向上させるために、さまざまな機能が提供されているためだ。

  • 帯域幅の増加:伝送帯域18Gbps以上と、HDMI1.4の10.2Gbpsから増加している。これによりフレームレートと解像度が向上しているため、4Kや8Kといった高品質なコンテンツの視聴に最適だ。
  • 4K解像度毎秒60フレーム(60fps)の4K映像信号をサポート。よりスムーズでリアルな映像描写が可能となっている。毎秒30フレーム(30fps)の4K解像度のみをサポートしていたHDMI1.4に比べて大幅な改善といえるだろう。

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HDMI 2.0対応のディスプレイ画面
  • HDR(ハイダイナミックレンジ)サポート:画像のコントラストや色を向上させ、より鮮明でリアルな画像を表現する HDR もサポートしている。
  • オーディオ機能:最大32のオーディオチャンネルをサポートし、より臨場感のある詳細な音質を提供可能。また多くの映画やテレビ番組等で使用されている高品質オーディオ形式である Dolby TrueHD および DTS-HD Master Audio もサポートしている。

上述の通り多くのメリットを持つHDMI 2.0だが、考慮しておくべき点もあるので注意が必要だ。

  • ダイナミック HDRは未サポート:HDMI 2.1とは異なり、HDR 設定をフレームごとに調整するダイナミック HDR をサポートしていない。そのため、一部のシーンでは色の精度とコントラストが低下する可能性がある。
  • 一部のハイエンドゲームには不向き:最大 60 Hz のリフレッシュレートをサポートするものの、より高いリフレッシュレートを求めるゲーマーにとっては物足りない可能性がある。また、可変リフレッシュ レート (VRR) や自動低遅延モード (ALLM) などといった、コアゲーマー向けの機能は搭載されていない。
  • ケーブルの互換性:HDMI 2.0 のケーブルは HDMI 1.4 以前のものとは互換性がない。旧来のHDMI 2.0未対応のデバイスを使用中のユーザーは注意が必要だ。

 上記のような注意点はあるものの、HDMI 2.0は多くのホームエンターテイメントシステム利用シーンで依然として人気があり、信頼できる選択肢の一つといえるだろう。4K解像度と HDRサポートは、高帯域幅とオーディオ機能と相まって、高品質のコンテンツを視聴するのに最適となっている。ただ、これより高度な機能を求める場合は、HDMI 2.1 を検討するのが良いだろう。次の章で解説する。

HDMI 2.1とは

 HDMI 2.1 は、2017 年に発売された 、現在のHDMI規格の中では最もポピュラーなバージョン。HDMI 2.0 に比べて、以下のように大きな改善が加えられている。

  • 帯域幅の大幅な改善:HDMI 2.0 の2 倍以上となる 48 Gbps の超広帯域幅を実現。これにより、4K時で120 fps 、8K時で 60 fps といった高速リフレッシュレートを実現している。
  • ダイナミック HDR:HDMI 2.0 とは異なり、HDMI 2.1 はダイナミック HDR をサポートしており、フレームごとに HDR 設定を調整できる。より正確な色の精度とコントラスト表現が可能となるため、よりリアルな没入型体験をできるはずだ。
  • コアゲーマー向け機能の強化:可変リフレッシュ レート (VRR) や自動低遅延モード (ALLM) など、さまざまなゲーミング機能を提供。入力遅延を軽減し、ストレスなくハイエンドゲームのプレーが可能となる。
  • オーディオ機:HDMI 2.0 と同様に、最大 32 のオーディオ チャンネルおよびDolby Atmos や DTS:X などの高品質オーディオ フォーマットもサポート。加えて、テレビからサウンドバーやホームシアターシステムに高品質のオーディオを送信するためのエンハンスド オーディオ リターン チャネル (eARC) も含まれている。

多くの改善が行われたHDMI 2.1 ではあるが、注意点もある。

  • 互換性: 一部の旧来型デバイスなどHDMI 2.1の規格に対応していないものも多いため注意が必要。この規格に対応する機器に買い替える必要も出てくるだろう。
  • 対応するケーブルの選択肢が少ないこと:HDMI 2.1 の規格は比較的新しいため、対応するケーブルが少ない。特に長いケーブル注意が必要。
  • コスト:一般的に、HDMI 2.0対応ケーブルよりも高価。 コストパフォーマンスを重視するユーザーは注意が必要。

HDMI 2.0と2.1 :どちらを選ぶべき?

HDMI接続端子

選択する際に特に注意すべきポイントを紹介する。

  1. 互換性:まずはデバイスが HDMI 2.1 に対応しているかの確認をおすすめする。使用中のデバイスが古くHDMI 2.0にしか対応していない場合、場合によってはHDMI 2.1にアップグレードする価値は無いかもしれない。
  2. 予算:一般的にHDMI 2.1に対応する機器やケーブルは、HDMI 2.0のものより高額なため、予算がネックとなる可能性がある。予算見合いでHDMI 2.0 の方が賢い選択となるシーンもあるかもしれない。
  3. 解像度:4K または 8K コンテンツを視聴するユーザーにとっては、間違いなく HDMI 2.1 がおすすめ。高帯域幅とダイナミック HDR サポートにより、高品質のコンテンツ視聴が可能となるだろう。
  4. ゲーム:コアゲーマーなら、VRR や ALLM などの HDMI 2.1 特有の機能により、ゲーム体験が大幅に向上するだろう。ただしゲーマーではない一般的なユーザーやたまにしかゲームをしないライトゲーマーにとっては、これらの機能は不要かもしれない。
  5. オーディオ:どちらも、Dolby Atmos や DTS:X などの高品質オーディオ形式をサポートしているが、HDMI 2.1 が対応する eARC(Audio Return Channel) は更に質の高いサラウンドサウンド技術に対応。ホームシアターなどでその違いを体感できるだろう。

まとめ

 HDMI 2.1 は、HDMI 2.0と比較しより高い解像度、リフレッシュ レート、色深度、ダイナミック HDR など優れた点を提供。ただしHDMI 2.1 が本当に必要かどうかは、ユーザーの視聴習慣や利用シーン(例としてホーム シアターなど)によって異なる。

 現在の環境に満足しており、すぐに8Kテレビにアップグレードする予定がない場合は、HDMI 2.0 で十分。最新のテクノロジーを体感してみたいという場合はHDMI 2.1 がおすすめ。

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GEEKOM JAPAN

ミニPC世界シェアのTop 3にランクインしているGEEKOMの公式ブログアカウントです。ミニPCの研究開発、生産、販売に特化しており、台湾に研究開発本部を構え、世界各国に支社を展開しています。公式ブログでは、Geekom新製品の情報や活用方法、お役立ちのテクニックなどを配信しています。

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